横浜みなとみらいホール出張公演 横浜18区コンサート 第Ⅱ期 大江馨(ヴァイオリン) × 東京フィルハーモニー交響楽団メンバー(弦楽五重奏)

室内楽版で際立つ名作コンチェルトの魅力

大江馨(c)Shigeto Imura

 現在休館中の横浜みなとみらいホールの主催で、横浜市内各所の文化施設でコンサートが開催されている。内容もユニークで、メイン演目は協奏曲の名曲だが、演奏者はソリスト+弦楽五重奏だけという珍しいもの。室内楽編成であれば小中規模施設でも演奏可能で、多くの市民にその楽しさを味わってもらえる。さらに、ソリストは横浜にゆかりがある実力派奏者ばかりで、地元との結びつきも大切にする。

 第Ⅱ期は18区中8区の8施設に訪れることになっていて、平日15時開演、7月には南区の「吉野町市民プラザ」と港北区の「藤原洋記念ホール(慶應義塾日吉キャンパス協生館)」が舞台となる。ソリストはヴァイオリンの大江馨。桐朋学園大学と慶應義塾大学で学び、「平成26年度 横浜文化賞文化・芸術奨励賞」を受賞。瑞々しい音色と知的な感性をもった演奏で人気の俊英だ。オーケストラ役の弦楽五重奏団も贅沢な布陣で、東京フィルハーモニー交響楽団のメンバー、それもコンサートマスター近藤薫やヴィオラ首席の須田祥子ら、楽団の顔ともいえる首席奏者・フォアシュピーラーの5人が出演する。演目はドヴォルザークほかの五重奏曲に続き、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリンと弦楽五重奏版)。あらゆる協奏曲の中でもトップクラスの人気作だが、この編成であれば普段は気づかないようなフレーズやハーモニーが浮き彫りになり、近い距離感でその魅力に浸れるはず。大江と東京フィル・メンバーによる親密なステージで大作を楽しみたい。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年7月号より)

2022.7/20(水)15:00 吉野町市民プラザ
7/21(木)15:00 藤原洋記念ホール(慶應義塾日吉キャンパス協生館)(完売)
問:横浜みなとみらいホール仮事務所チケットセンター045-682-2000
https://yokohama-minatomiraihall.jp