【CD】The Waltz 夢幻∞ワルツ/マティアス・バーメルト&札響

 首席指揮者バーメルトと札幌交響楽団の共同作業の充実ぶりを示す、昨年秋の「ワルツ」をテーマとした定期演奏会の録音。彼らとしては少し意外な企画だが、クリアな音で各パートを明瞭に歌わせて、外連味なく誠実に構築することで、作曲家が「ワルツ」に求めていたであろう“品格”を感じさせ、その魅力と本質を浮かび上がらせる。ライブとは違う曲順のフランス、スラヴ、ウィーンというアルバムとしての流れもいい。どの曲も好演だが、やはりウィーンの3曲、殊に《ばらの騎士》の儚い洒脱さ、「ラ・ヴァルス」の節度が保たれた威容に、彼らの現在の境地がよく示されている。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年6月号より)

【information】
CD『The Waltz 夢幻∞ワルツ/マティアス・バーメルト&札響』

ベルリオーズ:「幻想交響曲」より第2楽章〈舞踏会〉/ドヴォルザーク:プラハ・ワルツ/チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より〈花のワルツ〉/J.シュトラウスⅡ:ワルツ「美しく青きドナウ」/R.シュトラウス:《ばらの騎士》より〈ワルツ・シークエンス第2番〉/ラヴェル:ラ・ヴァルス 他

マティアス・バーメルト(指揮)
札幌交響楽団

収録:2021年11月、札幌コンサートホールKitara(ライブ)
フォンテック
FOCD6051 ¥3080(税込)