マリンバやパーカッション、そしてエレクトロニクスなどの作曲家として世界の第一線で活躍を続ける、アレハンドロ・ヴィニャオの来日公演が7月に開催される。公演に先立ち5月6日にオンライン記者会見が開催され、ヴィニャオのほか、出演者の小森邦彦(マリンバ)、ブルックス信雄トーン(クラリネット)らが登壇した。
今回の来日公演は、神奈川県立音楽堂(7/10)、名古屋市熱田文化小劇場(7/14)、そして東京のサントリーホール ブルーローズ(7/20)の3ヵ所で開催される。ヴィニャオ作品の委嘱・初演に携わってきた国際的に活躍するマリンバ奏者・小森邦彦のほか、ピアニストの岡本麻子、若手打楽器奏者で構成される「N Percussion Group」などが出演する。
名古屋と東京公演のタイトルは〈ポートレイト・フォー・パーカッション〉。ヴィニャオの代表的な室内楽作品が演奏される。名古屋公演のエレクトロニクスはヴィニャオ自身が担当。東京公演はアコースティック楽器のみの室内楽編成プログラムとなっている。両公演では作曲家本人によるトークも行われる予定。
アレハンドロ・ヴィニャオ ポートレイト・フォー・パーカッション 2022
【名古屋公演】
7/14(木)18:45 名古屋市熱田文化小劇場
●出演
アレハンドロ・ヴィニャオ(作曲・解説)
小森邦彦(マリンバ)
N Percussion Group
稲垣佑馬(マリンバ)
岡本麻子(ピアノ)
橋本岳人(フルート)
ブルックス信雄トーン(クラリネット)
●曲目
“ストレス アンド フロー”より「ブライト アンド ダーク」~打楽器カルテットとエレクトロニクスのための~(2018)
「リフ」〜マリンバとピアノのための〜(2006)
“グルーヴの書”より「グルーヴの色彩」〜二台のマリンバのための〜(2011)
「ファイナル デ フレーズ」〜フルートとクラリネットと打楽器とエレクトロニクスのための〜(2020)〈世界初演〉
「アラベスコ・インフィニート」〜ヴィブラフォンとマリンバのための〜(2006)
“ウォーター”より「豪雨が過ぎて」、「全ての川は川」〜打楽器とピアノによる六重奏〜(2006)
●問合せ
ミューズクリエート052-910-6700
【東京公演】
7/20(水)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
●出演
アレハンドロ・ヴィニャオ(作曲・解説)
小森邦彦(マリンバ)
N Percussion Group
稲垣佑馬(マリンバ)
岡本麻子(ピアノ)
藤本隆文(ヴィブラフォン)
谷辺昌央(クラシックギター)
渡邉玲雄(コントラバス)
●曲目
「リフ」〜マリンバとピアノための〜(2006)
“グルーヴの書”より「グルーヴの色彩」〜二台のマリンバのための〜(2011)
「南に向かう三つの歌」〜マリンバ、ギター、ダブルベースのための〜(2019)
「アラベスコ・インフィニート」〜ヴィブラフォンとマリンバのための〜(2006)
“ウォーター”より 「豪雨が過ぎて」、「全ての川は川」〜打楽器とピアノによる六重奏〜(2006)
●問合せ
ミリオンコンサート協会03-3501-5638
神奈川県立音楽堂では、今年新しくスタートした独自企画「シリーズ〈新しい視点〉」の一環として、ヴィニャオと、同じくマリンバ作品を数多くてがけてきた一柳慧の二人の作曲家に焦点を当てた〈ダブルポートレイト・フォー・マリンバ・アンド・ザ・フューチャー〉が開催される。イギリスでパンデミックが始まる直前に書かれたというヴィニャオの新作「ファイナル デ フレーズ フルートとクラリネットと打楽器とエレクトロニクスのための」が世界初演されるほか、「共存の宇宙 マリンバとピアノのための」「風の軌跡 3人の打楽器奏者のための」などの一柳作品も演奏される。
小森は今回の公演に際し、「マリンバ音楽は20世紀に誕生した若い音楽。お二人の作品を通してその音楽を紹介し、そして継承していくことが演奏家の務め」と語る。ヴィニャオ作品については「リズムによる魅力」に尽きるとし、「周期的・持続的な“グルーヴ”」が大きな特徴だと紹介。「“グルーヴ”の凄まじさをぜひ会場でライブでお聴きいただきたいです。お二人にあかるい人でなくてもファンになってもらえるのでは。マグマが最高点に達する瞬間にぜひ立ち会ってほしいと思います」と意気込みを語った。
ヴィニャオは今回のプログラミングについて「聴衆が理解することが難しいと感じている現代クラシック音楽について、長年考えてきました。聴衆に届きやすい音楽を模索してきた結果、今回の演目では、初めは非常にシンプルな音楽からスタートし、徐々に発展して複雑なものになっていく構成になっています」と紹介した。
神奈川公演では、ヴィニャオと一柳による対談も大きな見どころ。ヴィニャオは一柳との企画について次のようにコメントを寄せた。
「一柳さんは、長期にわたり広範囲に作品を残してきた、秀でた作曲家としてのキャリアをお持ちです。彼の多作さはエレクトロ・アコースティック作品や日本の伝統楽器のための作品、映画音楽や室内楽や管弦楽までが含まれています。最近、私は彼のマリンバのための作品を知りましたが、神奈川県立音楽堂の同じコンサートで、彼の作品と共に私のマリンバや打楽器の作品が演奏されるのをとても光栄に思っています」
(翻訳協力:小森邦彦)
ダブルポートレイト・フォー・マリンバ・アンド・ザ・フューチャー
7/10(日)15:00 神奈川県立音楽堂
●出演
小森邦彦(マリンバ)
橋本岳人(フルート)
ブルックス信雄トーン(クラリネット)
岡本麻子(ピアノ)
N Percussion Group
一柳慧(神奈川芸術文化財団芸術総監督)(トーク)
アレハンドロ・ヴィニャオ(トーク、エレクトロニクス)
●曲目
一柳慧:
共存の宇宙 マリンバとピアノのための(1992)
アクアスケープ 独奏マリンバ、フルート、ピアノ、2人の打楽器奏者のための(1992)
風の軌跡 3人の打楽器奏者のための(1984)
アレハンドロ・ヴィニャオ:
リフ〜マリンバとピアノのための〜(2006)
ファイナル デ フレーズ フルートとクラリネットと打楽器とエレクトロニクスのための(2020)<世界初演>
“ストレス アンド フロー”より 「ブライト アンド ダーク」 打楽器カルテットとエレクトロニクスのための(2018)
(曲順不同)
●問合せ
チケットかながわ0570-015-415