注目の若きチェリストが奏でる豊饒な響き
文京シビックホール主催の「夜クラシック」は人気奏者がトークを交えながら室内楽の名曲を披露する内容で、平日の仕事帰りにもぴったりな時刻にスタートする好評シリーズ。同ホールは昨年4月から2022年の秋頃まで改修工事で休館となっているが、場所をお隣りの台東区に移して公演を再開。12月にはヴァイオリニストの奥村愛を迎えて「夜クラシック in 東京文化会館」と題した第1回公演を成功させた。
今年2月の第2回公演も会場は同じ東京文化会館小ホールで、開演もいつもより30分早い19時スタート(休憩なし70分)なのでお間違えなく。ホスト役を務めるピアノの名手、山田武彦が今回迎えるのは、190cmを超える長身から繰りだす豊かな響きと情熱的な演奏で魅せる気鋭の若手チェリスト、笹沼樹。プログラムは、本シリーズ恒例のドビュッシー「月の光」(チェロ編曲版)で幕を開ける。コロナ禍で増えた“おうち時間”に作曲の背景まで勉強したというベートーヴェン中期の名作、チェロ・ソナタ第3番をはじめ、サン=サーンス「白鳥」(組曲「動物の謝肉祭」より)やJ.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番〈プレリュード〉」などの“王道もの”から躍動感溢れるポッパーのハンガリー狂詩曲も楽しみだが、ヴァイオリンの名曲であるクライスラー作品を編曲した「愛の喜び」と「愛の悲しみ」にも期待したい。文京区民もいざ上野の森へ!
文:東端哲也
(ぶらあぼ2022年2月号より)
2022.2/17(木)19:00 東京文化会館(小)
問:シビックチケット03-5803-1111
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