トリオ・ヴェントゥス(ピアノ三重奏団) リサイタル ツアー

シューベルトと近現代作品を対比させる選曲の妙

左より:廣瀬心香、鈴木皓矢、北端祥人

 トリオ・ヴェントゥスは同時期にベルリンに学んだ3人が結成したアンサンブル。現在、ソロ・室内楽とそれぞれの道を歩み始めているが、そんな3人が再びステージ上に集った時、どんな風が生まれるのか——「ヴェントゥス(風)」にはそんな思いが込められている。

 宮崎—東京—大阪を巡る今回のツアーは、冒頭と末尾にシューベルトのトリオを置いて、真ん中の近現代作品を挟むというコントラストを効かせたプログラム構成。メインに据えるシューベルトのピアノ三重奏曲第2番では歌心だけではない、作曲者自身の死への予感がもたらす暗さ、寂寥感にも耳を傾けたい。

 一方、近現代作品は3公演とも演目が異なる。ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番(宮崎)では、躍動感と諧謔・風刺の落差が鮮やかに描き出されることだろう。東京公演ではリーム「見知らぬ情景III」やマルティヌー「5つの小品」に加え、精緻な書法を持ち味とする鈴木輝昭の新作初演も。ドイツ仕込みの3人がリームやヘンツェ「室内ソナタ」(大阪)にどうアプローチするかにも着目したい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2022年1月号より)

2022.1/16(日)15:00 宮崎市民プラザ オルブライトホール
1/21(金)19:00 Hakuju Hall
1/24(月)19:00 大阪/ザ・フェニックスホール
問:ヤタベ・ミュージック・アソシエイツ03-3787-5106 
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