山田和樹がバーミンガム市響の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーに就任

 指揮者の山田和樹が、2023年4月1日付でバーミンガム市交響楽団(CBSO)の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーに就任することが発表された。任期は4年半。

Kazuki Yamada (c)Zuzanna Specjal

 山田は、2012年にCBSOにデビュー。2018年10月からは首席客演指揮者を務め、同楽団と良好な関係を築いていたことから、このポストへ就任することが有力視されていた。山田は、現在モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督兼音楽監督を務めており、国内でも、日本フィルハーモニー交響楽団の常任指揮者、読売日本交響楽団の首席客演指揮者の任にある。
 バーミンガム市交響楽団(CBSO / City of Birmingham Symphony Orchestra)は、1920年創設(最初の演奏会を振ったのはエドワード・エルガー)。1980年代、若き日のサイモン・ラトルが率いて一躍世界の注目を集めるオーケストラへと押し上げ、以降、サカリ・オラモ、アンドリス・ネルソンスと、後に巨匠と称されることになる指揮者たちが、その名声を確固たるものにしてきた。現在は、活躍目覚ましいリトアニア出身のミルガ・グラジニーテ゠ティーラが音楽監督を務めているが、2021/22シーズンでの退任がすでに発表されている。ヨーロッパ出身者以外がCBSOを率いるのは、山田が初めてとなる。
 今週9月16日、18日に行われる同楽団の演奏会に登壇が予定されており、地元音楽ファンの注目を集めることになりそうだ。

Organ Symphony
9/16(木)19:30、9/18(土)19:00 バーミンガム・シンフォニー・ホール

山田和樹(指揮) キャロリン・サンプソン(ソプラノ) アンナ・ラプウッド(オルガン)
CBSO合唱団 CBSOユース合唱団
♪チャイコフスキー:序曲「1812年」
♪プーランク:グローリア
♪フォーレ:小ミサ曲(指揮:Julian Wilkins)
♪サン゠サーンス:交響曲第3番 ハ短調「オルガン付」

CBSOを振る山田和樹 (c) KYapproved

山田和樹のコメント
2012年、バーミンガム市交響楽団(CBSO / City of Birmingham Symphony Orchestra)を初めて指揮した時から、メンバーと心の深いところで結びつくのを感じました。この “結びつき”は、2016年に行った日本公演、そして9年以上の歳月を経て、ますます深く大きくなっています。
 この素晴らしいオーケストラと、今度は首席指揮者として共に “旅” を続けられることは光栄で、心から嬉しく、今から胸を躍らせています。

山田和樹

(c) Zuzanna Specjal

第51回(2009年)ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。ほどなくBBC交響楽団を指揮してヨーロッパ・デビュー。同年、ミシェル・プラッソンの代役でパリ管弦楽団を指揮。以降、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ベルリン放送交響楽団、エーテボリ交響楽団、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団など世界の主要オーケストラに客演を重ねている。
2017年にはベルリン・コーミッシェ・オーパーで《魔笛》、モンテカルロ歌劇場で《サムソンとデリラ》を指揮して高い評価を得るなど、オペラの分野でも活躍。
2014/2015年にアメリカ・デビュー、2015/2016年にはオセアニア・デビュー。
2021年にはサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団デビューを成功させ、再客演が予定されている。

2012年から2018年までスイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者を務めた他、2016/17シーズンから、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督に就任。2018/2019シーズンから首席客演指揮者を務めるバーミンガム市交響楽団では、2023年4月から首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーに就任することが発表された。
日本では、日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者、読売日本交響楽団首席客演指揮者、東京混声合唱団音楽監督兼理事長、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督としても活動している。

小澤征爾氏の信頼厚く、2010年に指名代役としてスイス国際音楽アカデミーを指揮。以降参加を重ねる他、2012年にはサイトウ・キネン・フェスティバル松本でオネゲル作曲《火刑台上のジャンヌ・ダルク》を指揮、同時期にサントリー芸術財団サマーフェスティバルでクセナキス作曲《オレステイア三部作》を指揮し、獅子奮迅の活躍が注目された。2014年7月にはスイス・ロマンド管弦楽団15年ぶりとなる日本公演を、2016年にはバーミンガム市交響楽団日本公演を成功に導いた。

東京藝術大学指揮科で松尾葉子・小林研一郎の両氏に師事。
出光音楽賞、渡邉暁雄音楽基金音楽賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞、実行委員会代表を務めた『柴田南雄生誕100 年・没後20年 記念演奏会』が平成28年(2016年)度文化庁芸術祭大賞、日本フィルハーモニー交響楽団と3年に亘り行った『山田和樹マーラー・ツィクルス』が第67回(2017年)芸術選奨文部科学大臣新人賞など受賞多数。
2019年には世界各国206の国歌を現地語でレコーディングするという“アンセム・プロジェクト”を東京混声合唱団と完結しキングレコードからリリースした他、オクタヴィア・レコード、PENTATONE、EXTON、日本コロムビア(DENON)などから多くのCDを発表。
著述に『「超」音楽対談 オーケストラに未来はあるか』(対談・アルテスパブリッシング刊)、『「自由」の危機 ―息苦しさの正体』(論考集・集英社新書)などがある。

本質に迫るとともにファンタジーあふれる音楽づくり、演奏家たちと一体になって奏でるサウンドは、音楽の喜びと真髄を客席と共有し熱狂の渦に巻き込む。名実ともに日本を代表する人気マエストロである。
ベルリン在住。
公式twitter @yamakazu_takt


City of Birmingham Symphony Orchestra
https://cbso.co.uk