「未完成交響楽」シネマ&リサイタル 近藤嘉宏 plays シューベルト・ベートーヴェン

映像と演奏で作曲家の人生に迫る


 映像とともに音楽の奥深い世界を堪能させてくれる樂画会(がくがかい)のイベント。来る2月には音楽映画を鑑賞後、生演奏のコンサートが楽しめる大人気の《シネマ&リサイタル・シリーズ》が横浜みなとみらいホール(小)で開かれる。今回のテーマは「未完成交響楽」。
 第1部は1933年公開のオーストリア・ドイツ映画『未完成交響楽』(88分)が上映される。この映画は日本で1935年に公開され、シューベルトと「未完成交響曲」の名を戦前の日本人の間に知らしめることとなった作品。物語はシューベルトと貴族の令嬢との恋を描いたフィクションであるが、音楽はウィーン・フィルが担当し、ウィーン少年合唱団が初めて銀幕に姿を現した映画というのだから、当時かなり気合いを入れて制作された作品に違いない。『サウンド・オブ・ミュージック』など、後世の音楽映画にも大きな影響を与えたと言われている。監督はヴィリ・フォルスト。
 第2部のリサイタルは、作品への誠実な解釈と端正な演奏で人気を集めるピアニスト、近藤嘉宏が登場する。シューベルトの作品からは、わずか31年の生涯を閉じる前年に書かれた有名な「4つの即興曲op.90」(全曲)、および近藤が近年もっとも精力的に取り組むベートーヴェンの作品からピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」が演奏される予定。映像と生演奏による特別なひと時を楽しみたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2014年1月号から)

★2014年2月1日(土)・横浜みなとみらいホール(小)
問:樂画会チケットデスク03-3498-2508
http://gakugakai.com