シリーズ日本の古典 〜源氏物語初版千年〜 Ⅰ サラマンカ能 その弐

オルガンのサウンドと一体となり生み出す幽玄の美

 伝統芸術として、もっとも長い歴史を誇る西洋のオルガン音楽と日本の能。その二つがサラマンカホールで出会い、新たな調和を生み出す。2018年に初回が催され話題を呼んだ「サラマンカ能」。いよいよ来春には、能「葵上」をメインプログラムに据えて「その弐」のステージが開かれる。今回も能楽師の辰巳満次郎が、オルガニスト・指揮者としてマルチな活躍が目覚ましい鈴木優人の奏でるオルガンとコラボレーションし、幽玄の世界を創り上げる。

 源氏物語を題材とする「葵上」は、六条御息所の強い情念を描く。葵上への嫉妬に狂う鬼女の気品あふれる動きが見どころの能の代表作だ。また、辰巳満次郎・和磨父子の共演による新たな古典「SHISHI」では、赤と白の連獅子が鈴木の演奏とともに舞う。笛、小鼓、大鼓、太鼓の緊張感に満ちた音色が、サラマンカホールのオルガンと響き合える時、未知のエネルギーを発するに違いない。このほか、野村又三郎が登場する狂言「昆布売」、岐阜の能楽師・玉井博祜による仕舞も披露される。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2020年12月号より)

2021.1/30(土)14:00 岐阜/サラマンカホール
問:サラマンカホール チケットセンター058-277-1110 
https://salamanca.gifu-fureai.jp