びわ湖ホールが令和2年度自主事業ラインナップを発表

 びわ湖ホールは12月5日、令和2年(2020年)度の自主事業のラインナップを発表した。登壇したのは館長・山中隆、芸術監督・沼尻竜典、事業部長・馬淵英明の3名。
 自主事業のポイントは次の5つ。まずはプロデュースオペラ《ローエングリン》(2021.3/6,3/7)。16年度から制作・上演されてきた《ニーベルングの指環》に引き続きワーグナー作品を取り上げる。演出に栗國淳を迎え、びわ湖ホールの舞台機構を活用した新制作になる。

左:沼尻竜典 右:山中 隆
写真提供:びわ湖ホール

 2つ目は沼尻竜典オペラセレクション ロッシーニ《セビリアの理髪師》(20.11/28,11/29)。日生劇場との提携事業としてプロデュース。「全国からオーディションにより厳選されたソリストを配し、日本オペラ界の将来を見据えたキャスティングで“劇場が創るオペラ”というものを築きたい」と沼尻は語る。

 3つ目は沼尻作曲の《竹取物語》の再演(7/23〜7/26)。東京オリンピック・パラリンピックイヤーに因んで日本古来の物語をモティーフにしたオペラ。こちらは新国立劇場との連携事業でもあり東京でも上演される。

 そして3年目の開催となる「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭 2020」(4/25,4/26)。この企画は広く地域の人たちが気楽に芸術文化を楽しめるように、優れた音楽家の演奏会を低料金、または無料で実施するもので、約70公演を展開する。テーマは「不思議な想いが私を満たす」。指揮者には沼尻、大植英次。管弦楽には大阪フィル、日本センチュリー響。ソリスト陣にはニキータ・ボリソグレブスキー(ヴァイオリン)、前橋汀子(同)、福川伸陽(ホルン)、宮田大(チェロ)、田村響(ピアノ)、舘野泉(同)、砂川涼子(ソプラノ)など豪華キャスティング。

 最後に「地域貢献」について。びわ湖ホールは公共ホールとして様々な自主企画を通じて地域に貢献している。聴覚障害者向けの公演、舞台芸術研修、指揮者セミナーなど劇場が制作スタッフを、演奏家を、そして聴衆を育てるという試みを積極的に展開している。欧州でも評価が高い沼尻芸術監督の強い思いを感じることができる。その他、パレルモ・マッシモ劇場来日公演(アンドレア・バッティストーニ指揮 歌劇《ナブッコ》)(6/27)、 沼尻&京響によるマーラーシリーズ(交響曲第1番「巨人」)(8/23)、恒例ジルヴェスター・コンサート(12/31)、びわ湖ホール四大テノール、びわ湖ホール声楽アンサンブルの活動など、このホールの事業展開からは目が離せない。
取材・文:田中幸成

びわ湖ホール
https://www.biwako-hall.or.jp