稀有なスター・テノールの今を聴く
1980年代末の白血病からの復帰後、ほぼ毎年来日しているホセ・カレーラスが、今年もやってくる。サントリーホールで行なわれる2晩のコンサートのうち、第1夜は「with Guest Players」と題して、ヴァイオリンの川井郁子とチェロの長谷川陽子が共演する(長谷川は、病気療養中の、ギターの村治佳織に代わっての出演となる)。発表されている予定曲目は、「アランフェスより愛を込めて」(ロドリーゴ)、「アヴェ・マリア」(シューベルト)、「夢のあとに」(フォーレ)、「アンダルーサ」(グラナドス)など。二人の日本のミューズとの交歓を、ともに楽しみたい。
そして第2夜は「愛の調べ」と題したソロ・リサイタル。「太陽と愛」(プッチーニ)、「バラとあなた」(レンディーネ)、「カタリ・カタリ」(カルディッロ)、「激しく愛す」(ドニゼッティ)などのプログラムが予定されている(両夜とも、ピアノにロレンツォ・バヴァーイ)。
カレーラスは1946年12月5日生まれなので、2夜目のコンサートの翌日に、日本で満67歳の誕生日を迎えることになる。少しだけ早いハッピー・バースデイを一緒に祝う、またとないチャンスだ。もちろんそれだけではない。70歳を前に、まだまだ歌一本で勝負できるのは天性のナチュラルな発声ゆえだろう。そこに、長い音楽生活で得た、さまざまなバックグラウンドによる深化が加わった、稀有なスター・テノールの今が聴ける、2つの公演だ。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2013年11月号から)
with Guest Players ★12月1日(日) Lコード31341
リサイタル 〜愛の調べ ★12月4日(水) Lコード31343
会場:サントリーホール
問 ビザビジョン03-5421-8070
http://visavision.co.jp
他公演 ホセ・カレーラス〜ミュージカル・ナンバーを中心に〜
11/23(土・祝)・大阪/フェスティバルホール Lコード58617
問 キョードーインフォメーション 06-7732-8888