フランス生まれの名手、パスカル・ドゥヴァイヨンが、得意とするドビュッシーのピアノ作品の傑作「前奏曲集」第1巻、第2巻を録音。ドゥヴァイヨンは、角がとれた深みのある音を慎重に重ねていく。いくつもの色を混ぜ合わせたかのような低音が響く「沈める寺」や、要所の音の後に、描いたものの残像が見えるような「霧」や「花火」などは、特に印象的。適所で自然の音やさまざまな楽器を思わせるサウンドが鳴らされる様は、名人技と呼びたくなる。色彩は軽やかであるのに、同時に重心の低い音が、小品一つひとつの世界を丁寧に表現していく。
文：高坂はる香
（ぶらあぼ2019年12月号より）
【information】
CD『ドビュッシー：前奏曲集 第1巻＆第2巻／パスカル・ドゥヴァイヨン』
ドビュッシー：前奏曲集 第1巻、同 第2巻
パスカル・ドゥヴァイヨン（ピアノ）
マイスター・ミュージック
MM-4068 ￥3000＋税