帝王ゲルギエフが贈るオール・チャイコフスキー・プログラム
いよいよ11月末から12月にかけて、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場による「チャイコフスキー・フェスティヴァル2019」が開催される。この音楽祭では、マリインスキー歌劇場管弦楽団によるコンサートも開かれ、チャイコフスキーのオーケストラ曲や協奏曲の魅力がたっぷりと伝えられる。
12月5日の公演で演奏されるのは、交響曲第1番「冬の日の幻想」と、実質的にチェロ協奏曲といえる「ロココの主題による変奏曲」(チェロ:アレクサンドル・ブズロフ)、そして交響曲第6番「悲愴」。最初と最後の交響曲に加えて「ロココの主題」も聴けるという、ボリューム感のあるプログラムだ。チェロのブズロフはチャイコフスキー国際コンクール第2位をはじめ多数の受賞歴を誇る名手。
12月7日(18:00)はピアノ協奏曲第2番(ピアノ:セルゲイ・ババヤン)と交響曲第5番の組合せ。ピアノ協奏曲第1番に比べると圧倒的に演奏頻度の少ない第2番だが、近年じわじわと人気が高まりつつあるのを感じる。ソリストのババヤンはドイツ・グラモフォンからアルゲリッチとのデュオで録音をリリースするなど、経験豊富な実力者。トリフォノフの師としても知られる。
そのほか、五嶋龍(12/6)、辻井伸行(12/7 13:00)をソリストに迎えた公演もあり、華やかなシリーズが組まれた。
また、演奏会形式でオペラ《マゼッパ》が上演されるのも貴重な機会。ゲルギエフの指揮のもと、プーシキン原作による重厚なドラマが描かれる。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2019年12月号より)
ワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団&合唱団 歌劇《マゼッパ》(演奏会形式)
2019.12/2(月)18:00 サントリーホール
ワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団
2019.12/5(木)19:00 サントリーホール
12/6(金)19:00、12/7(土)13:00 18:00 東京文化会館
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp/tf2019/
※全国ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。