ヴァイオリニストHIMARIが、ベルリン・フィルでのデビューを飾ったヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第1番のライブ録音。コントロールは几帳面なほどに正確で、超絶技巧だってすいすいと決めてみせる鮮やかさには驚かされるばかりだ。表現しようという意識から完全に解放された、まさにスーパーインテリジェンスな演奏ともいえよう。チェルシー・ワンとのデュオによるハイフェッツ編曲のショパンやゴドフスキー作品では、往年の巨匠の甘い歌い口までしっかりと模刻。潔いまでのテクニシャンによる、じつに爽やかすぎる快演であることは疑うまでもない。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年11月号より)
【information】
CD『Debut』
ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番/ショパン(ハイフェッツ編):夜想曲第16番/ゴドフスキー(ハイフェッツ編):古きウィーン 他
HIMARI(ヴァイオリン)
セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
チェルシー・ワン(ピアノ)
収録:2025年3月、ベルリン(ライブ) 他
ユニバーサル ミュージック
UCCD-45044 ¥3300(税込)

鈴木淳史 Atsufumi Suzuki
雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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