JR京都駅から徒歩約15分。京都市南区九条町にある真言宗総本山 東寺(教王護国寺)は、平安時代の寺域をそのまま今に残す唯一の遺構。新幹線の車窓から見える五重塔は京都のランドマークとなっている。1994年に世界遺産に登録された東寺の、約1200年間受け継いできた至宝を紹介する特別展『国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅』が東京国立博物館にて6月2日(日)まで開催されている。
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東寺は平安京遷都に伴い、王城鎮護の官寺(国立の寺院)として西寺とともに建立された。新しい仏教である密教を唐で学び806年に帰国した弘法大師空海は、嵯峨天皇から823年に東寺を賜り、同寺を日本ではじめての密教寺院、真言密教の根本道場とする。
本展では、空海の書の中でも格調高い「風信帖」など、空海にまつわる数々の名宝をはじめ、東寺に伝わる彫刻、絵画、書跡、工芸など文化財の全貌を全4章で紹介する。
第1章「空海と後七日御修法」では、空海によって始められ現在でも東寺で行われている、真言宗で最も重要でかたく秘された「後七日御修法」の道場の様子を再現。東寺に伝わる密教独特の造形の名品を並べた第2章「密教美術の至宝」、平安京の羅城門に安置され都を守護していたと伝えられる「兜跋毘沙門天立像」など、東寺の信仰と歴史を今日に伝える宝物を会した第3章「東寺の信仰と歴史」を進むと、複雑な密教の世界を視覚化した第4章「曼荼羅の世界」へと誘われる。
曼荼羅は、密教と同様にインドで成立し、密教では円の中に仏を表した、仏の世界を図示したものを呼ぶ。空海はその密教の神髄を表す曼荼羅をよりリアルに具現化することを構想し、曼荼羅の到達点とも言うべき「立体曼荼羅」を作り上げる。空海が表したこの立体曼荼羅は、東寺講堂に安置されており、全21体で構成される。
本展では史上最多となる国宝11体、重要文化財4体を含む合計15体が出展され、そのほとんどが360度から見られる展示となっている。そのうちの1体、甲を着用し、武器である金剛杵を手に象に乗る仏法の守護神「帝釈天騎象像」(国宝 平安時代・承和6年(839) 東寺蔵)のみ撮影が可能だ。
また本展で、東寺の子院である観智院の本尊である重要文化財「五大虚空蔵菩薩坐像」(中国・唐時代、9世紀)が展示されることも注目だ。五大虚空蔵とは、五つの智慧を持つとされる虚空蔵菩薩を五方に配し、金剛界の五仏を象徴すると言われる。本展に出品される「五大虚空蔵菩薩坐像」は獅子、象、馬、孔雀、迦楼羅(インド神話に登場する鳥類の王)に座す珍しい形式で、5体全てが現存する貴重な作例。東京では初公開となる。
【Information】
特別展「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」
会期:2019年3月26日(火)~6月2日(日)
場所:東京国立博物館 平成館
開館時間:9:30〜17:00 *会期中の金曜・土曜は21:00まで開館(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日、5月7日(火) *ただし4月1日(月)[東寺展会場のみ開館]・29日(月・祝)、5月6日(月・休)は開館
https://toji2019.jp/
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