アレクサンドル・ラザレフ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

オケとオペラ両方のファンを熱くする“将軍”のスゴ技、炸裂!


 
 来たる5月、日本フィル定期に“将軍”アレクサンドル・ラザレフがやってくる。今回の演目はユニークで、メトネルのピアノ協奏曲第2番とマスカーニのオペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》(演奏会形式)という、意表を突くカップリング。同団ウェブサイトによると、メトネルを提案した際にラザレフからこのオペラを推され、「マエストロ曰く『どちらもファンタジー溢れた良い組み合わせだっ!』」とのこと。
 メトネルは20世紀前半に活躍したロシアの作曲家・ピアニスト。本作は彼の代表作のひとつで、19世紀ロマン派風の美しく濃厚な作風ながら、緻密で硬質なヴィルトゥオジティも効いている魅力作だ。《カヴァレリア》はヴェリズモ・オペラを代表する、1幕ものの人気演目。シチリア島の市井の人々のドロドロした愛憎劇の興奮と、要所に挟まれる絶美の旋律の感動を堪能できる。
 ソリストも贅沢なメンバーが並ぶ。前半は、世界各地でメトネルを愛奏する名手エフゲニー・スドビン。強靭さと繊細さを兼ね備えた名技で、作品の真価を明らかにする。後半の主役ふたりは、“ラザレフ激推しのロシア人テノール”ニコライ・イェロヒンと、いま絶好調のメゾソプラノ清水華澄で、これまた強靭な声の饗宴(競演)が期待される。
 とはいえ、本公演の中心はやはりラザレフ。かつてボリショイ劇場芸術監督も務めた彼のオペラが遂に体験できるのだ。どれほど“激アツ”な《カヴァレリア》が実現するのか? オペラファンもオーケストラファンも必見と言うほかない。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年4月号より)

第710回 東京定期演奏会
2019.5/17(金)19:00、5/18(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
https://www.japanphil.or.jp/