
越前市を舞台に1990年から歩み続けてきた武生(たけふ)国際音楽祭。2026年はフランス近代の室内楽にもスポットを当てる。特に目を引くのが、日本を代表するベテランで、本音楽祭のコンサートプロデューサーを務めるピアニスト・伊藤恵が企画する9月1日、5日の公演。ドイツ・ロマン派の解釈に定評がある伊藤だが、その緻密なタッチと深い作品理解、豊かな色彩感はフランス音楽でも力を発揮するだろう。
また近年の武生を語る上で欠かせないのが、国内外のコンクールやコンサートシーンを席巻する活きのいい若手たちである。前述の公演ではヴァイオリンの山根一仁、毛利文香、外村理紗、荒井里桜、ヴィオラの田原綾子、チェロの上野通明、水野優也、柴田花音といった、すでにソリストとしても目覚ましい活躍を見せる弦の若き俊英たちが伊藤のもとに集い、ドビュッシーやラヴェル、フォーレ、フランクの傑作群で火花を散らし、あるいは緊密に溶け合いながら音楽を作る。また「フランス器楽曲と歌曲のエスプリ」(9/2)と題したコンサートもテーマを深める。
伊藤がフランス近代を担う一方で、音楽祭では音楽監督・細川俊夫による現代音楽プログラムも展開され、武生ならではの古典と現代を往還する構成も健在。他にも音楽祭のコンセプトをぎゅっとまとめた選曲が楽しめる「オープニングコンサート」(8/30)、バロックとモダンが交錯する「ヴィヴァルディ『四季』とイタリア音楽の系譜」(9/3)、近隣市民からなる合唱団が歌う「ファイナルコンサート」(9/6)など、今年も濃くて熱い北陸の一週間となりそうだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年8月号より)
武生国際音楽祭2026
2026.8/30(日)~9/6(日) 越前市文化センター 他
問:武生国際音楽祭推進会議 事務局0778-23-5057
https://takefu-imf.com
※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

