
辻彩奈を中心に、竹山愛(フルート)、荒絵理子(オーボエ)、藤江扶紀(ヴァイオリン)、安達真理(ヴィオラ)、横坂源(チェロ)。「ローム ミュージック フェスティバル2026 in TOKYO」は、選りすぐりの奏者たちが集う、上質な室内楽のひとときだ。
室内楽は大好き、と声を弾ませる。
「弾く相手が変わるとまったく違う発見がありますし、自分にないものを引き出してもらえるのがいつも楽しいんです」
曲目は前半にモーツァルトのフルート四重奏曲第1番とオーボエ四重奏曲。
「作曲家の中でモーツァルトが一番好きです。たとえばリハーサルでやっていなかった装飾音を本番ならではの空気感で入れてみたり、ちょっとした“遊び”が許されるというか、モーツァルトはそういうものが溢れちゃうタイプの作曲家ですよね。
今回の2曲とも、モーツァルトらしいキラキラしたセンスが、管楽器だけじゃなくて弦楽器にも見え隠れするのがとても可愛らしい作品です。木管は弦楽器と同じ木の楽器なので音が溶け合いやすいと感じますし、管楽器はブレスがあるので、フレーズ感がよりわかりやすい。勉強になります」
そして後半はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番(ラズモフスキー第3番)。実はこれが弦楽四重奏初挑戦なのだそう。
「室内楽で一番難しい。できれば避けたいと思っていました(笑)。弦楽四重奏は作曲家がかなり綿密に練り上げて充実した作品を描いているという印象があります。だからこそ、ピアノが入っている室内楽や、5人や6人で演奏する室内楽よりも音程感やリズム感がすごくシビアで難しいと感じます。たとえば、音程ひとつとっても高めの人、低めの人、それぞれの音程感を持っているので、それを擦り合わせるところから入らなければなりません。今回私は第2ヴァイオリンを弾いて、いろいろ勉強したいと思っています。
チェロの横坂さんとも話して、やるならやっぱり王道のベートーヴェンを弾きたいということになりました。ラズモフスキー第3番はとても純度が高い音楽。ハ長調は一番難しい調の一つだと思うんです。勢いでなく、じっくり取り組みたいです」
安達、横坂は9年前から継続的に室内楽に取り組んでいる、信頼する仲間たち。辻と誕生日が同じという藤江はこの公演のためにトゥールーズから駆けつける。
「私たち奏者が楽しんでいる姿を見て、お客様も楽しんでいただけると思います。音楽を通して心で繋がれる瞬間と、このメンバーでしか生まれないハッピーな空気感。サントリーホール ブルーローズの濃密な空間でぜひ体感していただきたいです。私自身、最初から最後まで幸せな気持ちで弾けると思います」
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2026年9月号より)
ローム ミュージック フェスティバル2026 in TOKYO
2026.10/10(土)15:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問 1002(イチマルマルニ)03-3264-0244
https://www.rmf.or.jp/jp/activity/rmfes/2026_inTOKYO/
