日本最大級のオーケストラの祭典が今年も開催! フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2026

 夏の川崎といえば、フェスタサマーミューザ KAWASAKI。今年は「百花“響”乱」を合言葉に、7月25日から8月11日にかけて、全18公演が開催される。中心となるのは首都圏のオーケストラの饗宴。今回はゲストに仙台フィルが招かれる。さらに子どもたちに人気の小川典子「イッツ・ア・ピアノワールド」や、ミシェル・ブヴァールによるパイプオルガン・リサイタル「真夏のバッハXI」、塩谷哲らによる「サマーナイト・ジャズ」など、バラエティに富んだ公演が並ぶ。

左より:ロレンツォ・ヴィオッティ ©Jan Willem Kaldenbach/高関 健 ©K.Miura/大野和士 ©Rikimaru Hotta

 まず注目したいのは開幕公演。東京交響楽団が新音楽監督ロレンツォ・ヴィオッティとともに登場する。欧州を席巻する俊英は、楽団員たちに活躍の場を与えようと、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」やドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」など、ソロの聴きどころの多い名曲を選んだ。就任披露公演で旋風を巻き起こしたコンビだけに、期待は高まるばかり。

 東北の雄、仙台フィルは2019年に続く再登場。常任指揮者の高関健のもと、ショスタコーヴィチの交響曲第9番とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を演奏する。軽妙と重厚、ユーモアと悲嘆。好対照の2曲だ。

 東京都交響楽団は大野和士の指揮で没後50年のブリテンと没後170年のシューマンを組み合わせる。ブリテンのヴァイオリン協奏曲を名手、竹澤恭子のソロで聴けるのは貴重。シューマンの交響曲第4番では、深く内省的な詩情を味わいたい。

左より:太田 弦 ©ai ueda/セバスティアン・ヴァイグレ ©読響/下野竜也 ©Shin Yamagishi

 神奈川フィルは若手の太田弦の指揮により意欲的なプログラムで勝負する。曲はアイヴズ(W.シューマン編)の「アメリカ変奏曲」、グルダのチェロと吹奏楽のための協奏曲(チェロ:笹沼樹)、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」(オルガン:澤菜摘)。異色作だらけの痛快なプログラムだ。

 読売日本交響楽団は常任指揮者のセバスティアン・ヴァイグレと登場。新鋭、鈴木愛美とのベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番と、ワーグナー(デ・フリーヘル編)の楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》オーケストラル・トリビュートを演奏する。ヴァイグレのワーグナーは「鉄板」だ。

 NHK交響楽団は正指揮者の下野竜也とともに「狩」を題材にした曲を並べる。アレッシオ・アレグリーニ独奏によるR.シュトラウスのホルン協奏曲第2番など、ホルンが大活躍。

左より:藤岡幸夫 ©Shin Yamagishi/クリストフ・コンツ ©AndreasHechenberger/小林研一郎 ©K.Miura/原田慶太楼 ©37 Frames

 東京シティ・フィルは藤岡幸夫の指揮でスペインをテーマにした熱いプログラム。シャブリエの狂詩曲「スペイン」やファリャの「三角帽子」全曲など、客席が盛り上がること間違いなし。

 日本フィルはクリストフ・コンツの指揮による王道のウィーン・プログラム。ブラームスの交響曲第1番、周防亮介の独奏によるヴァイオリン協奏曲など、聴きごたえ十分。ウィーン・フィル首席第2ヴァイオリン奏者から指揮者に転向したコンツの手腕に期待が集まる。

 東京フィルを指揮するのは名匠、小林研一郎。金子三勇士独奏のピアノ協奏曲第5番「皇帝」と交響曲第6番「田園」の両曲で、情熱と円熟がバランスしたベートーヴェンを堪能できるだろう。

 フィナーレを飾るのは今年も原田慶太楼が指揮する東京交響楽団。久末航独奏のプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番やチャイコフスキーの交響曲第5番他による祝祭的なプログラムが組まれた。輝かしい幕切れが待っている。

文:飯尾洋一

(ぶらあぼ2026年7月号より)

フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2026
2026.7/25(土)~8/11(火・祝)
ミューザ川崎シンフォニーホール、昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/
※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。


飯尾洋一 Yoichi Iio

音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 https://www.classicajapan.com/wn/