ルセ率いるレ・タラン・リリクのコンマスを務める実力派ヴァイオリニストと、レオンハルトとアスペレンに師事した正統派チェンバリストによるバッハのソナタ集。すみずみまで神経が通ったヴァイオリンの清澄な歌い口に引き込まれる。第5番アダージョ楽章の重音の爽やかにして情け深い響きも印象的だ。そして、繊細なタッチでほのかな色彩を灯すチェンバロ。第6番のソロでも、躍動感と気高さを共存させる神業。なんといっても、ベタつきもせず、離れすぎない両者の距離感が絶妙だ。陽キャの第6番でも気品を一切損なうことなく、情感が行間からこぼれ落ちるようなバッハを奏でてくれる。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年6月号より)

【information】
CD『J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第4番~第6番/ジローヌ・ゴーベール&エリザベート・ジョワイエ』
J.S.バッハ:ソナタ第4番〜第6番、同第6番(別稿)
ジローヌ・ゴーベール(ヴァイオリン)
エリザベート・ジョワイエ(チェンバロ)
initié/東京エムプラス
ITE-003 ¥オープン価格

鈴木淳史 Atsufumi Suzuki
雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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