第6回高松国際ピアノコンクールの入賞者が決定、優勝はロマン・フェディウルコ

 2月10日に香川県高松市で開幕した第6回高松国際ピアノコンクールは、21日、22日の2日間にわたって本選が行われ、5人のピアニストが広上淳一指揮瀬戸フィルハーモニー交響楽団と協奏曲を演奏。全審査終了後の表彰式で最終結果が発表された。45名の出場者の中から、第1位の栄冠に輝いたのは、ウクライナから参加のロマン・フェディウルコ。第3次審査のでの室内楽課題(ピアノ四重奏)と桑原ゆうによる新作課題の最優秀演奏者賞は、いずれも第2位のキム・ジョンファン(ドイツ)が受賞した。

5人の入賞者と審査員たち

◎第6回高松国際ピアノコンクール 最終結果
第1位 ロマン・フェディウルコ Roman FEDIURKO(ウクライナ)21歳
第2位 キム・ジョンファン KIM Jeonghwan(ドイツ)25歳
第3位 エリザベス・ツァイ Elisabeth TSAI(アメリカ)26歳
第4位 パク・ヘリム PARK Haerim(韓国)19歳
第5位 ハ・ギュテ HA Gyu Tae(韓国)29歳

最優秀室内楽演奏者賞 キム・ジョンファン KIM Jeonghwan
最優秀委嘱作品演奏者賞 キム・ジョンファン KIM Jeonghwan

青柳晋審査員長(左)から表彰を受けるロマン・フェディウルコ

 5人のファイナリストたちは、各々異なる協奏曲を選択したが、それぞれの持ち味を活かすような曲を選んでいたのが印象的。第1位のフェディウルコは、ラフマニノフの大曲、第3番を繊細かつエモーショナルに披露。演奏機会が多いとは言えないサン=サーンスの第4番でアグレッシブなパフォーマンスをみせた第2位のキム、ブラームスで堂々たる演奏を披露した第3位のエリザベス・ツァイなど、ハイレベルな熱演が続いた。瀬戸内海に面した会場のサンポートホール高松には、熱心なピアノファンが駆けつけ、コンテスタントたちの健闘に大きな拍手が送られていた。

 第1位のフェディウルコは、2004年キーウ生まれ。ウラディミール・ホロヴィッツ記念青少年国際ピアノコンクール キーウ‐ジュネーヴ(2023年)優勝など、いくつかの国際コンクールへの入賞実績をもっている。これまでに、スイス・ロマンド管、ウクライナ国立交響楽団など多くのオーケストラと共演。また、2023年には当時13歳の弟オレクサンドルと一緒にデビューCD『Kaleidosope』(ARS Produktion)をリリースしている。

第1位 ロマン・フェディウルコ

 フェディウルコは表彰式で以下のように喜びを語った。
「まだ、昨日瀬戸フィルと演奏をしたあとで、まだ驚きが体の中に残っているような気がします。本選では信じられないくらい、これまで以上の自分の演奏ができたと思います。それを引き出してくださったマエストロ広上や審査員のみなさまに感謝しています。まだ1位になったことが信じられません。高松に来て、みなさんが温かく迎えてくれたことにも感謝しています」

 優勝者には、副賞として2026年10月18日、高松での凱旋公演をはじめ、今後、国内外での演奏の機会が提供される。

 一方、青柳晋・審査員長は、コンクール開催の意義を強調した。
「現在、私たちの生活を取り巻く政治の状況は必ずしも理想的であるとは言えません。(中略)しかし、何よりも私たちの心を打つのは、国境を超えて若い音楽家たちが交流を深めている光景に出会う瞬間です。国や言語が異なっても、美しいものを尊いと感じる心に違いはありません。私たちの共通の言語である音楽を通して、これからも心の交流を続けていくことができれば、これほど嬉しいことはありません」

委嘱曲作曲家・桑原ゆう(左)と最優秀委嘱作品演奏者賞を受賞したキム・ジョンファン(右)

 続いて行われた記者会見では、「自分のベストをどのように表現していくかを考え、曲を選びました。審査員の皆さんには高い評価をいただけて、感謝の気持ちでいっぱいです。この経験は自分の心の中に長く残っていくものだと感じています」と、再び現在の心境を語ったフェディウルコ。

講評を述べる青柳晋審査員長

青柳審査員長は、「本当に水準の高い演奏が多く、ラウンドが進んでも、『もう少し人数取れないのかな』と思うくらい全体的にレベルが高かった。コンチェルトも、本当にファイナルに向けて皆さんしっかり準備していて、とても立派でした」とコンクール全体を振り返った。フェディウルコが最も評価されたことについては、次のように述べた。

「21歳にもかかわらず、果敢に難曲に挑戦していました。すでに自分のスタイルがあり、芯がしっかりしています。決定打となったのは、やはりファイナルのコンチェルトで、どの部分をとっても、(期待を)裏切られることがなく、見事に弾ききった。オーケストラとのコミュニケーションをうまくとって、ひとつのコンサートのように会場を盛り上げることができたと思います」

 23日夜には、熱戦の舞台となったサンポートホール高松で、入賞者披露演奏会が開かれ、コンクールは幕を閉じる。

文・写真:編集部

高松国際ピアノコンクール
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