“本当の幸せとは?”オペラ《ミスター・シンデレラ》が開館25周年の東大和市・ハミングホールで上演

左より:原 純 ©FUKAYA/auraY2/高橋勇太/伊藤康英

 《ミスター・シンデレラ》は鹿児島オペラ協会創立30周年を記念して、2001年に初演された作品。その後も再演を重ねるこの人気の現代日本オペラを、東大和市民会館ハミングホールが、開館25周年記念公演として上演する。間違って飲んだ薬のために、潮の満ち引きによって体が女性化してしまう主人公・伊集院正男とその妻・薫を中心に、正男の両親や彼が勤める大学の学生たちなど、さまざまな人たちが織りなす物語は、「本当の幸せとは何か」を楽しく、かつ鋭く描き出していく。

 今回は演出・美術・衣裳に、数々のオペラやストレートプレイ、そしてこの夏には歌舞伎の演出を手がけたことで話題の原純を迎え、完全な新制作の舞台を生み出す。指揮は、東京サロンシンフォニーオーケストラ常任指揮者で、2015年黒海指揮者コンクール準優勝の高橋勇太。また作曲者の伊藤康英が監修という形で制作に参加する。公演は2日間(9/14, 9/15)、ダブルキャストで行われる。日本オペラ協会を代表するプリマ・ドンナの沢崎恵美(薫役、9/15)、二期会所属で幅広いジャンルを歌うクロスオーバー歌手としても活躍する猪村浩之(正男役、9/14)のほか、藤原歌劇団や東京二期会など日本を代表するオペラ団体に所属するメンバーを中心に、ベテランから若手までバラエティに富んだ歌手陣が集結。また合唱は、一般公募による「ハミング25周年記念合唱団」が担当し、市民が総力を挙げてホールの周年を祝うムードを盛り上げる。新たなプロダクションの誕生を心待ちにしたい。

文:室田尚子

(ぶらあぼ2025年9月号より)

東大和市民会館ハミングホール開館25周年記念公演
オペラ《ミスター・シンデレラ》(全2幕・日本語上演)
2025.9/14(日)、9/15(月・祝)各日15:00 東大和市民会館ハミングホール
問:東大和市民会館ハミングホール042-590-4414 
https://www.humming-hall.jp


室田尚子 Naoko Murota

東京藝術大学大学院修士課程(音楽学)修了。東京科学大学・昭和音楽大学非常勤講師。NHK-FM「オペラ・ファンタスティカ」レギュラー・パーソナリティ。オペラを中心にアーティストのインタビューや演奏会の紹介記事、エッセイなどを手がけるほか、ミュージカル、ロック、少女漫画などのジャンルでも執筆活動を行なっている。著書に『オペラの館がお待ちかね』(清流出版)、共著に『ヴィジュアル系の時代 ロック・化粧・ジェンダー』(青弓社)など。