女性の感性をテーマに歌う
2012年の日本での初リサイタルからおよそ3年ぶり。フランスのソプラノ、サンドリーヌ・ピオーが再びリサイタルでその歌声を聴かせてくれる。美しくみずみずしい声と絹糸を紡ぐような丁寧な表現の虜になった人も多いのでは。古楽の巨匠たちに愛され、バロックやモーツァルトを軸に活躍してきたが、キャリアを重ねるとともにレパートリーを広げており、今回も19〜20世紀の作品でプログラムを構成している。ショーソン、ドビュッシー、R.シュトラウス、ケクラン、ツェムリンスキー、シェーンベルク。これは2007年にリリースしたCD『エボカシオン』をほぼ再現するもので、テーマは「女性」。CDに掲載された本人の言葉によれば、そこに特別なストーリーはなく、「欠如や幸せ、悲しみといった感覚」「意識と無意識のあやふやな境界線上にある夢」「くらくらするようなエロティシズムへの招待」が存在しているという。あの完成度の高いCDの内容を実演で聴ける貴重な機会となりそうだ。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)
5/21(木)19:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
http://www.ojihall.jp