ジャズとクラシックの両面で活躍を続ける小曽根真が、2月8日、さいたま市文化センターで角田鋼亮指揮、東京フィルと共演する。再び活動拠点をニューヨークに移すことを発表している小曽根だが、その直前の国内公演となる。
プログラムは前半が2025年に生誕200年を迎えるヨハン・シュトラウスⅡ世の喜歌劇《こうもり》序曲、同じく生誕150年のラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」、後半がモーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」(小曽根バージョン)。ガーシュウィンとモーツァルトの2曲にわたって小曽根のソロを堪能できるプログラムだ。ともに小曽根がこれまでにくりかえし取り上げてきた作品でもある。
もともとジャズ協奏曲として構想されたガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」は、クラシックとジャズの両分野にまたがった名曲。小曽根はこの曲にいつも即興を盛り込み、予定調和では終わらないスリリングな体験をもたらす。ガーシュウィンが求めていたのはきっとこんな演奏にちがいないと思わせてくれる。
一方、モーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」は小曽根バージョンでの演奏だ。ウィーン古典派の作品が小曽根の編曲によりジャズの装いをまとって生まれ変わる。ベースの小川晋平、ドラムスのきたいくにとが加わり、ジャズ・トリオがソリストとしてオーケストラと共演する。これはまったく自由で新しいモーツァルトだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2025年1月号より)
Makoto Ozone with Tokyo Philharmonic Orchestra
小曽根 真 × 東京フィルハーモニー交響楽団
2025.2/8(土)14:00 さいたま市文化センター
問:さいたま市文化センター 048-866-3171
https://saitama-culture.jp