ベートーヴェンの不滅の魅力を求めて
東京・晴海の第一生命ホールを拠点に、2015年から指揮者なしで活動を続ける「トリトン晴れた海のオーケストラ」は、18年から21年にかけてベートーヴェンの交響曲全曲を演奏する「ベートーヴェン・ツィクルス」を行った。コロナ禍では有観客の公演ができない時期もあったが、交響曲第9番「合唱付き」をなんとか聴衆を入れて実現させた。「第9番」の実現に至るリハーサルを含む過程はNHKでドキュメント番組が放送されるなど話題を呼んだ。
2023年からは27年のベートーヴェン没後200年を目指して、新たに2巡目となる「ベートーヴェン・ツィクルス」がスタートしている。24年度には、9月28日に「ツィクルスIII」、25年1月18日には「ツィクルスIV」が予定されている。「III」ではピアノの小山実稚恵を招きベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」、そして交響曲第4番が演奏される。「IV」では、初挑戦となるモーツァルトのディヴェルティメント第17番と、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」が取り上げられる。
そのコンサートマスターを務める矢部達哉は「時間を超えた普遍性を持つベートーヴェンの音楽は演奏するほど新しい発見がある」と常々語っており、2巡目のツィクルスでは、参加するメンバーそれぞれの意気込みもさらに熱が入っている。小山もこのオーケストラと共演を重ねており、高みに向かって音楽を作り上げていくアーティストたちの姿を実感することができる貴重な機会となるだろう。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2024年5月号より)
【第15回】2024.9/28(土)
【第16回】2025.1/18(土)
各日14:00 第一生命ホール
2024.5/22(水)発売
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net