若き俊英と活力あふれるマエストロ&オケがプロコフィエフの傑作を熱演!
11月25日(土)、26日(日)に開催されるカーチュン・ウォン&日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会(第392回横浜定期演奏会 @横浜みなとみらいホール&第248回芸劇シリーズ @東京芸術劇場)。ピアノ独奏を務める福間洸太朗が合流し、ますます熱気が高まる24日の前日リハーサルの模様をレポート!
今回福間をソリストに迎え演奏するのは、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番。輝かしいピアノ・ソロの技巧に加え、多彩な役割を果たすオーケストラとの丁々発止の掛け合いも魅力的な作品。この作曲家の代表作の一つで、演奏機会も多い。福間にとって「中学生の時から大好きな曲」とのことだが、日本で披露するのは今回が初めてだという。
「日本フィルさんとはこれまで、難しい現代作品も含め何度も共演させていただいています。カーチュン・ウォンさんとご一緒するのは初めてですが、お昼過ぎから打ち合わせを行い、リハーサルは『お伝えしたことをすべて理解してくださっている』という感覚で終えることができました。空間の広いホールでの演奏ならではの微調整はまだ必要ですが、明日にはきっと、皆さんと寄り添い合いながら仕上げていくことができると考えています」
今回の共演についてこのように語る福間。実際、リハーサルは全曲を通したのち、各楽章のごく一部のみをピックアップ、予定よりも30分以上早く終了した。ソリストとマエストロ&オケ、双方の信頼があってこそのことだろう。ただし、その後も舞台上でカーチュンと熱心に打ち合わせを行っていたので、本番ではより精度の高まったパフォーマンスを楽しめるに違いない。この作品の演奏については、福間は次のような意識で臨むという。
「プロコフィエフならではの和声の複雑さがある一方で、一つ一つのメロディはかなりシンプルだったりします。また、彼の作品はバレエ音楽の要素も強く、この協奏曲に関しても、バレエのシーンを想像しながら演奏することもあります。ジャンプしたり飛び跳ねたりする瞬間を大切にしたいと考えているので、そうするとあまりポンポンと先にいきたくはない。ですので、ほかのピアニストの方よりもテンポが遅く感じられるところがあるかもしれません」
では、オケ側の共演の手ごたえは。冒頭の郷愁あふれるクラリネット・ソロを担当する、首席奏者の伊藤寛隆に話を聞いた。
「これまで何度か共演を重ねてきましたが、福間さんの魅力はまず楽譜の読み込みの深さにあると感じています。そして何よりも、お人柄のよさが音楽に表れているところが素敵ですね! プロコフィエフの3番は、彼らしい美しさや洒脱さが前面に出た作品ですので、ぜひ福間さんの演奏で皆さんに堪能していただきたいです」
今回の演奏会ではこの他、小山清茂の「管弦楽のための木挽歌」とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」が取り上げられる。二曲とも初日リハーサルから引き続き、カーチュンによる精力的かつ緻密な音楽作りが行われた。演奏会当日、さらなるミラクルが起こることは間違いない。人気と実力を兼ね備えた若きピアニストと、エネルギッシュなマエストロ&日本フィルが引き起こす化学反応。ぜひホールで、ご自身の目と耳で確かめてほしい。
写真・取材・文:編集部
【Information】
第392回横浜定期演奏会
2023.11/25(土)17:00 横浜みなとみらいホール
第248回芸劇シリーズ
11/26(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
出演/
指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]
ピアノ:福間洸太朗
曲目/
小山清茂:管弦楽のための木挽歌
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op.26
チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》 ロ短調 op.74
問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
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