フルート界の新星として注目を浴びている清水伶(りょう)。先日、ARDミュンヘン国際音楽コンクールでの木管五重奏「クインテット樹」のメンバーとしての活躍も記憶に新しい。日本音楽コンクール優勝ほか数々のコンクール受賞歴をもち、高校時代から演奏家として活動してきた若手が、高崎芸術劇場の「大友直人 Presents T-Shotシリーズ」vol.14に登場する。芸術監督の大友が次代を担う逸材を選び、リサイタルを開催。併せて収録も行ってCD、DVDとしてリリースするユニークな企画で、これまでにヴァイオリンの戸澤采紀、ピアノの北村明日人、そしてチェロの上野通明など未来の巨匠候補が出演してきた人気シリーズである。
東京音大、ジュネーヴ高等音楽院で学んだ清水のプログラムは、まずプーランクのソナタで始まる。この楽器のソナタの中でも名曲中の名曲で、明朗な響きと洒脱なリズム感が際立つ作品。清水のセンスに期待である。続いてスイスの作曲家マルタンの「バラード」は、モダンな響きの中に格調の高さも感じさせる一曲で、ジュネーヴで学んだ清水ならではの選曲でもあろう。シューベルトの「しぼめる花の主題による序奏と変奏」では、歌曲に由来する美しい旋律美と冴えた技巧を堪能したい。締めくくりとなるプロコフィエフのソナタも、20世紀のフルート・ソナタの名作のひとつなので、この作品にどのように肉薄するか、非常に楽しみである。ピアノは望月晶。
才能豊かな清水は、今回のリサイタルを糧に、演奏家として大きく羽ばたいていくにちがいない。そんな気鋭の「今」にじっくり耳を傾けるコンサートになることだろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2024年11月号より)
高崎芸術劇場 大友直人 Presents T-Shotシリーズ vol.14
清水 伶 フルート・リサイタル
2024.12/4(水)19:00 高崎芸術劇場 音楽ホール
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900
https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/