共演重ねる名手3人の濃密で芳醇なアンサンブル
ニューイヤー・コンサートといえども、ガチなプログラムを組むのが、室内楽の殿堂トッパンホールの伝統だ。今回は、ヴァイオリンの日下紗矢子、チェロのペーター・ブルンズ、ピアノのフローリアン・ウーリヒによるピアノ三重奏を中心にした構成。核となるのは、メンデルスゾーンとブラームスのピアノ三重奏曲だ。
メンデルスゾーンの第1番は、情感を宿しつつ躍動する弦楽器に、ピアノがテクニカルに絡む。まばゆい光を放つ日下のヴァイオリンを中心にしたアンサンブルに期待したい。
一方、ブラームスの第1番は、作曲家20歳を越えた頃の作品ながら、50代半ば過ぎに大幅に改訂されたことから、若々しい情熱をはらみつつ円熟味が際立つ音楽だ。メンデルスゾーン作品が春なら、こちらは秋の気配を感じさせる。この作曲家を得意とするブルンズのしっとりとした歌も聴きどころだ。
これらのあいだに、2作品を配置。シューマンの「子供の情景」は、トッパンホール初登場となるウーリヒによるピアノ独奏だ。彼はヘンスラー・レーベルからシューマンのピアノ曲全集をリリースしたスペシャリスト。持ち前の安定したテクニックと繊細な音色変化を堪能したい。
そして、シュルホフの「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」は、民族的なエッセンスを交え、変化に富んだ作品。クールな日下と深々とした情感で聴かせるブルンズが、息の合ったデュオで、この作品の魅力を十二分に伝えてくれること間違いない。
文:鈴木淳史
※本公演は、ペーター・ブルンズ(チェロ)の体調不良により、出演者とプログラムを一部変更して開催されます。
【出演】
ペーター・ブルンズ(チェロ)→ 遠藤真理(チェロ)
【変更後のプログラム】
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op.49
シューマン:子供の情景
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 Op.105【※】
ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 Op.8
※当初演奏を予定しておりました「シュルホフ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」を、演奏準備の都合上、「シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番」に変更いたします。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。(1/19主催者発表)
2024.1/21(日)15:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
https://www.toppanhall.com