ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団

リゲティからベートーヴェンへ、ノットが描くこだわりのストーリー

 いつも刺激的なプログラムを組んでくれるジョナサン・ノットと東京交響楽団の名コンビ。11月の東京オペラシティおよび名曲全集シリーズでも、現代作品とベートーヴェンを組み合わせた興味深いプログラムが用意された。前半がモダン、後半がクラシックという「一粒で二度おいしい」コンサートになりそうだ。

 前半に並ぶのは、リゲティの「アパリシオン」、ドビュッシーの3つの夜想曲より「祭り」、ブーレーズの「メサジェスキス」、そしてディーター・アマンの「グラット」。共通項はノットが敬愛する作曲家たち。今年生誕100年を迎えたリゲティは、ノットがこれまでにもくりかえし取り組んできた作曲家だ。緻密なトーン・クラスターを用いた「アパリシオン」が演奏される。ドビュッシーの「祭り」ではカラフルで華やかなオーケストレーションが楽しみ。ブーレーズの「メサジェスキス」は独奏チェロと6つのチェロのための作品。こういったオーケストラ編成以外の作品をはさんでくるのがノットらしい。東響ソロ首席奏者の伊藤文嗣が独奏チェロを務める。現代スイスの作曲家アマンの「グラット」は、2016年にチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団により世界初演された作品で、複雑で洗練された書法から熱気にあふれた渦巻くような音響が生み出される。

 後半は一転して本格派のベートーヴェンへ。ピアノ協奏曲第5番「皇帝」で巨匠ゲルハルト・オピッツがドイツ正統派のピアニズムを披露する。ずしりとした聴きごたえを残してくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2023年11月号より)

東京オペラシティシリーズ 第136回
2023.11/17(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
名曲全集 第193回〈後期〉
2023.11/18(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
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