注目の若手ピアニストとともにラフマニノフのアニヴァーサリーを祝う
文京シビックホール「フレッシュ名曲コンサート 響きの森クラシック・シリーズ」第77回は、今年生誕150年を迎えたラフマニノフを記念したプログラム・シリーズの第1弾。パガニーニに触発された技巧性がラフマニノフならではのロマンティシズムと融合した名作「パガニーニの主題による狂詩曲」でソリストをつとめるのは、この3月に高校を卒業し、現在イタリアのサンタ・チェチーリア音楽院他で学ぶ18歳、森本隼太。ピティナ・ピアノコンペティション2018年G級金賞、20年特級銀賞および聴衆賞受賞といった国内での経歴に加え、昨年3月には100年以上の伝統を誇るイギリスのヘイスティングス国際ピアノ協奏曲コンクールで第1位を獲得。新時代の覇者たる彼のみずみずしい感性がこの名作とどう対峙するかが聴きどころである。
東京フィルが6月の定期公演でラフマニノフの交響曲第1番をとり上げ、初演当時の評判がかんばしくなかったこの作品に内在する驚くべき真価を聴かせたのは記憶に新しい。今回の公演では、同オーケストラの指揮台に定期的に登壇し信頼関係を深めている角田鋼亮の指揮のもと、初演以来の人気作品であるラフマニノフ「交響曲第2番」からどのような新しい魅力を引き出してくれるか楽しみだ。
プログラム冒頭に配されたチャイコフスキーのバレエ音楽「眠りの森の美女」からのワルツは、クラシック・バレエの豪華絢爛な世界を体現する、言わずと知れた名曲。先人チャイコフスキーからラフマニノフに至る華麗なる響きの伝統を心ゆくまで味わいたい。
文:近松博郎
(ぶらあぼ2023年10月号より)
2023.10/21(土)15:00 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111
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