世界を駆ける若きトリオによる心やすらぐ癒しのひととき
A=秋元孝介(ピアノ)、O=小川響子(ヴァイオリン)、I=伊東裕(チェロ)。三人の頭文字を取って「葵」トリオ。2018年ARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝。いま引っ張りだこのトリオが第一生命ホールの「ごほうびクラシック」に登場する。
メインはメンデルスゾーンの三重奏曲第1番。ピアノ三重奏といえばこの曲だが、彼らは最近になって、満を持して集中的に取り組み始めた。今年聴いた彼らの“メントリ”は緻密かつ情熱的。私たちはピアノ三重奏について、ソリスト性と調和のバランスがどうのと、ついついしたり顔で語りがちだけれど、そんな言葉遊びの不毛さを痛感。公演後も彼らの演奏が頭から離れず、食事しながら無意識にメロディを口ずさんでしまい、同伴者に笑われた。あの至福の時間にまた立ち会える。プログラムは他に、生誕150年のラフマニノフ「悲しみの三重奏曲」第1番。前半には各人のソロ曲も置かれている。三人のコンサートでソロを組み込むのは、東京では初の試みとのこと。なるほど、言われてみればそうか。
休憩なし70分のプログラムのあと、約20分の「アフタートーク」で客席との交流の機会も。ちなみに三人とも関西人(小川と伊東が奈良、秋元が兵庫)。どんなネタ・・・いや、話題で楽しませてくれることやら! 注目のトリオを身近にたっぷり楽しんで入場料は3000円(25歳以下は1500円)とリーズナブル。頑張った自分にごほうびをぜひ!
文:宮本 明
(ぶらあぼ2023年8月号より)
2023.10/9(月・祝)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net