今年、創立525年を迎えるウィーン少年合唱団が、コロナ禍を経て4年ぶりに来日した。5月3日から6月18日まで、全国で29公演行われるツアーに先駆けて、都内で記者会見が行われた。
会見には、ジャパン・アーツ代表取締役社長の二瓶純一、ウィーン少年合唱団団長エーリッヒ・アルトホルト、芸術監督ゲラルト・ヴィルト、カペルマイスターのジミー・チャンが登壇した。
ウィーン少年合唱団は、世界およそ30ヵ国から集まった100人の少年で構成され、今回来日したハイドン組にも日本人3名を含む10ヵ国24名のメンバーが在籍している。
今回のツアーで用意されたのは、「プレミア」「オン・ステージ」をテーマとした2つのプログラム。「プレミア」つまり「初めて」という意味のプログラムAでは、日本初披露となる曲が中心であることに加えて、コロナ禍に収録したCDからも選曲、全体的にそれまで合唱団で歌われていなかった新しいプログラムとなっている。一方で、プログラムBは「オン・ステージ」、オペラやミュージカルといった舞台音楽を中心に集められた。
会見の冒頭、二瓶が挨拶に立った。
「パンデミックは彼らにとっても未曾有の事態で、2年半ほどの間は全くツアーができず、約700公演を失ったと聞いています。彼らに限らず、芸術文化団体はコロナで大変な時期を過ごしてきましたが、特にこの合唱団は、非営利の民間団体ということで大変な苦難に直面し、ドネーションを募ったり、企業からの支援を募ったりしてきました。引き続き、ウィーン少年合唱団に多くの人が目を向けていただき、ご支援していただければと思います」
芸術監督のゲラルト・ヴィルトは、自身も合唱団に所属し来日公演を行った過去があり、日本公演への想いを語った。
「少年合唱団に所属していたときに、日本公演というのは憧れの的でした。日本での公演があってこそ、自分たちがウィーン少年合唱団であるという実感を持っていたと言っても過言ではありません。自分が在籍したなかでのハイライトとも言える日本公演を、今回このように少年たちと実現できることを嬉しく思います」
また、ツアーで演奏する曲については以下のように述べた。
「今年は日本で初披露となる曲を数曲ほど携えてきました。例えば、『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』のア・カペラバージョンを初披露します。ご存知の方も多いと思いますが、この曲は作品番号が『K.525』で、今年合唱団が525周年を迎えるということで選びました。
また、コロナ禍の3年間でオンラインコンサートという形で収録したCDからも初披露します。ラヴランドの『ユー・レイズ・ミー・アップ』などのほか、今まで演奏してきたシュトラウスのポルカからも、新しくポルカ・フランセーズ『上機嫌』を披露する予定ですので、ぜひお楽しみください」
3度目の来日となるカペルマイスターのジミー・チャンは、今回公演を行うハイドン組について、「ほとんどの子どもたちが初めての海外公演となるハイドン組は、とてもエネルギッシュで若いグループです。また、非常にキャラクターが強い子どもたちが揃っているので、個性ある歌声をお届けできると思います」と話す。
会見の後には、ハイドン組とジミー・チャンのピアノ・指揮により、ヨーゼフ・シュトラウスのポルカ・フランセーズ「上機嫌」、岡野貞一「ふるさと」の2曲が披露された。久しぶりに聴く天使の歌声に、会場は拍手に包まれた。
ウィーン少年合唱団 2023年来日ツアー
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問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
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写真・文:編集部