デビュー25周年、楽の朋友達と臨む渾身の“W「四季」”
ヴァイオリニストの礒絵里子が、デビュー25周年を記念して、10月11日に紀尾井ホールでコンサートを開催する。ソロ活動に加え、室内楽、アウトリーチ活動など、多角的な演奏活動を精力的に行っている礒は、これまでも5年毎に自主リサイタルという形で、演奏家としての節目を刻んできた。今回は合奏団を率いて、ピアソラとヴィヴァルディ、2つの「四季」に挑む。
「このところ、ピアニストと共演の、いわゆるリサイタルが続いていたので、大きな節目である25周年記念コンサートでは、精鋭の合奏団のもと、ソリストとしてやってみたかった」
そんな礒の意気込みを支える特別編成合奏団を構成するのは、音楽を通して彼女と長年の付き合いがある知己朋友の面々。コンマスは、礒が「姉妹のように育った」という、仙台フィルのコンマス、神谷未穂。他にも「小学生の時から知っている先輩ヴァイオリニスト」佐份利恭子、椿三重奏団でも共演しているチェロの新倉瞳をはじめ、ピアソラ作品の演奏では定評があるコントラバスの加藤雄太、など実力十分の「気心のしれた仲間」が、強力に脇を固める。
「アンサンブルでは特に、共演者に対して〈耳を開く〉ことが大事。今回のステージでは指揮者がいないが、奏者が相互にアンテナを張って、一つのコンサートを創っていく醍醐味を今から楽しみにしている」
ピアソラとヴィヴァルディの「四季」を一つのステージで演奏する“W「四季」” プログラムは、昨今少なくないが、企画に一年をかけ、朋友の絆で結ばれた実力派の奏者たちが、ソリストのデビュー25周年という節目への意気込みを支える今回のステージは、きっと出色のものになるだろう。
今回演奏するデシャトニコフ編曲の「ブエノスアイレスの四季」には、ヴィヴァルディの「四季」からのモチーフが挿入されていたりして、魅力的なエディション。タンゴ独特のヴァイオリンの奏法も意識していく、と礒は言う。
「次の30周年までの間に、自分が成長できていないといけない。いつまでも違和感なく演奏できるように心身のケアも必要。歩みを止めないために」
来秋には椿三重奏団による2枚目のアルバムリリース予定もある。なお、今回のコンサートでは、礒にとって初めてのライブ・レコーディング(アールアンフィニ・レーベル)を行い、リリースを予定している。
取材・文:山田良
取材協力:アールアンフィニ
(ぶらあぼ2022年10月号より)
デビュー25周年記念コンサート 礒絵里子 with Friends〜2つの「四季」
2022.10/11(火)18:30 紀尾井ホール
問:1002(イチマルマルニ)03-3264-0244
https://www.1002.co.jp