カナダで研鑽を積む実力者が重厚なプログラムを携えて登場
高崎芸術劇場の若手演奏家シリーズ「T-Shot」に、チェロの柴田花音が登場する。劇場の芸術監督・大友直人プロデュース企画。高崎の「T」、そしてゴルフのティーショットにかけた、演奏家としての「第一打」の意味も含む。コンサートだけでなくCDやDVDの制作もセットになった新しいプロジェクトだ。大友が柴田を知ったのは、2019年、自身が主宰する国際室内楽セミナー。彼女の美点を「自由でのびのびとした音楽作りと、美しい音色に彩られた華のある演奏」と評する。
現在トロントのグレン・グールド音楽院でハンス・イェンセンに師事する柴田は、横坂源や宮田大らの名だたるチェリストたちが輩出しているビバホールチェロコンクール(養父市)の昨年の優勝者。審査委員長だった堤剛は、プロコフィエフの難曲「交響楽的協奏曲」を軽々と、表情豊かに弾き切った彼女に感嘆したという。
「エネルギッシュでメッセージの強いロシア音楽が好き」という柴田。今回も、プロコフィエフ、そして挑戦してみたかったというシュニトケを軸にした。前半はシューマン「アダージョとアレグロ」、ヒンデミットの無伴奏ソナタ(前記コンクールの2次予選でも弾いた曲)と、ドイツ・ユダヤ系であるシュニトケのチェロ・ソナタ第1番。後半はロッシーニ《セビリアの理髪師》の楽しいパラフレーズ(ピアティゴルスキーによるチェロ版)に、プロコフィエフの壮大なチェロ・ソナタ。共演ピアノに鈴木慎崇。
文:宮本明
(ぶらあぼ2022年8月号より)
2022.8/18(木)13:30 高崎芸術劇場 音楽ホール
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/