名匠、話題の新鋭、二大楽団が集結!
国内最高水準の音響性能を持つ福島県いわき市のいわきアリオス大ホールで10月9日と同10日、NHK交響楽団と読売日本交響楽団がそれぞれ相次ぎコンサートを開く。N響は指揮がサッシャ・ゲッツェル、ピアノがいわき生まれの牛田智大。読響は指揮がやはり地元出身の小林研一郎、ピアノが「かてぃん」名義でユーチューバーとしても活躍する角野隼斗。オーケストラ、指揮者、ピアニスト、ホール、曲目の組み合わせからして今秋、東北で最も注目すべき2日間となる。
第10回N響いわき定期演奏会は、グリーグの組曲「ペール・ギュント」より〈朝〉から始まり、若手ピアニスト筆頭格の牛田との共演で、同じくグリーグのピアノ協奏曲 イ短調。後半はシベリウスの交響曲第2番 ニ長調。北欧の人気曲を堪能する演目だ。牛田の研ぎ澄まされたロマンティシズムに期待したい。ウィーン出身のゲッツェルはヴァイオリニストとしての経験もあり、シベリウスならではの弦楽の美を引き出すはずだ。
読響の創立60周年記念いわき特別演奏会は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番 ハ短調とチャイコフスキーの交響曲第5番 ホ短調という超メジャー曲のカップリング。ウクライナ侵攻の影響がロシア音楽界にも及ぶ中、ロシア革命に伴い母国を離れたラフマニノフ、ウクライナと縁のあるチャイコフスキーは今こそ興味深い。情熱と叙情の表現で随一の小林の指揮は、大きな感動を呼ぶだろう。
名匠と若手俊英によるN響と読響の公演。聴き比べてもいい。
文:池上輝彦
(ぶらあぼ2022年6月号より)
第10回 NHK交響楽団いわき定期演奏会
2022.10/9(日)15:00
読売日本交響楽団 創立60周年記念 いわき特別演奏会「小林研一郎 × 角野隼斗」
2022.10/10(月・祝)16:00
いわきアリオス
6/4(土)、6/5(日)2公演セット券予約受付
2022.6/11(土)一般発売
問:アリオスチケットセンター0246-22-5800
https://iwaki-alios.jp