節目の年に紡がれる「展覧会の絵」
2002年、チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で、女性として、日本人として初めて優勝し、一躍時の人となった上原彩子。以後、3人の娘の出産と子育てを経験しつつ第一線で演奏を続け、さらには教育にも携わるなど、精力的に活動してきた。
今年は優勝から20年の節目で、数々の記念公演が予定されている。なかでも、ピアノソロに適したサイズの会場でじっくり彼女の音を堪能できる機会となるのが、第522回日経ミューズサロンでのリサイタルだ。
前半はシューマンの「幻想小曲集 op. 12」に続き、リストがシューマンに献呈した作品であるピアノ・ソナタ ロ短調。ピアニストにとって重要なレパートリーに挑む。そして後半はムソルグスキー「展覧会の絵」。彼女が20代半ばで録音し、その後も取り上げているレパートリーだ。堂々たる「キエフの大門」で閉じられるこの楽曲に、今、どんな想いをのせて届けてくれるのだろうか。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2022年5月号より)
2022.5/11(水)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://stage.exhn.jp