ニコライ・ホジャイノフ(ピアノ) with 若き日本の俊英たち

 独自の世界観と音へのこだわりを持ち、2012年の初来日以来、日本のファンを増やし続けている、ロシアのニコライ・ホジャイノフ。彼が11月、東京オペラシティで行われるアフタヌーンコンサートシリーズに登場し、ショパンやリストに加え、日本の俊英との室内楽で、平日の午後を彩るプログラムを届ける。
 ホジャイノフが注目を集めるようになったのは、18歳でファイナリストとなったショパン国際ピアノ・コンクールがきっかけ。内側からにじみ出すような詩情あふれる表現で聴衆を惹き込んだ。今回はそのショパンから、バラード第1番や英雄ポロネーズ、ノクターン第7番、第13番と、繊細な表現力と華やかな音の両方が堪能できる曲目をセレクト。リストの「スペイン狂詩曲」では、持ち前の粒立ちのよい音を生かした演奏を聴かせてくれるだろう。
 そして後半では、ヴァイオリンの山根一仁、チェロの伊藤悠貴という、今、世界に羽ばたく若手として注目を集める2人と組んで、室内楽曲のマスターピース、チャイコフスキーの「偉大な芸術家の思い出」を披露する。ホジャイノフが日本の若手と組んで室内楽を演奏するのは、今回が初めて。ロシアの音楽史を支えてきたモスクワ音楽院で長らく学んだホジャイノフが、同年代の気鋭2人といかにその音楽性を分かち合い、作品を仕上げるのか。初対面の彼らの掛け合いがどうなっていくのか。未知数の楽しみがある。
 ロマン派のピアノの名曲とチャイコフスキーの大曲を一度に味わう、盛りだくさんの午後となりそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2017年11月号より)

2017.11/2(木)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 
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