ユンディ・リ(ピアノ)

貴公子がショパン作品に回帰

 ユンディ・リがショパン国際ピアノ・コンクールで優勝の栄冠に輝いてから、はや15年が経過した。この間、レパートリーの根幹には常にショパンがあり、そこからさまざまな作品へと翼を広げていった。そして2015年10月、彼はショパン国際ピアノ・コンクールの最年少審査員として、審査員席に並んだ。
「コンクールの審査員として若きピアニストの演奏を数多く聴くなかで、また自分のなかでショパンに対する愛情に目覚め、作品の新たな面も発見し、ショパンの作品により深く関わりたいと思うようになりました」
 コンクール後、彼はこう述べている。優勝から15年を経て、ユンディ・リは再びショパンの作品へと回帰してきたのである。
「ショパンの音楽は流れるような旋律、舞曲に根差したリズム、色彩感あふれるフレーズ、絶妙の和音やルバートが用いられ、ピアノを知り尽くしている人が書いたという作品ばかり。演奏はそう難しいとは思われないかもしれませんが、実はとても難しい音楽です。ピアニストのすべてがあらわになってしまうから。いずれも美しい流麗な音楽に見えますが、細部をしっかり勉強して全体像をつかまないと、聴き手の感動する音楽にはなりません」
 ユンディ・リは「24の前奏曲」を15年6月、バラード全曲を同年12月に録音。これらの作品を今回の日本公演で披露する。彼のショパンは当初からの美音を縦軸に、深い表現力を横軸に、いま成熟のときを迎える。
文:伊熊よし子
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年3月号から)

6/7(火)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp
2/21(日)発売
※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。