Music Program TOKYO シャイニング・シリーズVol.9 東京文化会館チェンバーオーケストラ

若きツワモノが集まって高次元のアンサンブルを実現

 このところ、国内の若手の成長ぶりが目覚ましい。あらゆるジャンルにひしめく実力派が、互いに共演のチャンスを捉えては切磋琢磨している。

 この“ネクスト・ジェネレーション”の勢いをまるごと肌で感じられるのが、東京文化会館が主催するシャイニング・シリーズ第9回の東京文化会館チェンバーオーケストラ。東京音楽コンクールの入賞者をベースに2014年に結成されたが、同コンクールは03年にスタート、その規模を拡大しながら世界に知られるコンクールに育ってきた。つまり、今回の演奏会はいわば“若手人材の宝庫”からの選りすぐりが集まる場というわけなのだ。

 実際、そのメンバー表を見ると、入賞後、さらに世界の著名コンクールに進出して名をなし、あるいはトップオーケストラで要職を務めるなど、第一線で活躍している奏者たちも多数参加している。また海外からの入賞組で、現在日本を拠点におく奏者も加わっており、この間の日本の音楽界の国際化も実感させられる。

 今回も結成時からコンサートマスターを務める依田真宣(現・東京フィル・コンマス)をトップに、名手たちが綺羅星のごとく名を連ねている。さらにこれまでは指揮者を置かなかったが、三ツ橋敬子を指揮に迎えて管にまで編成を拡大し、大曲にチャレンジするのも見どころになる(ベートーヴェン「プロメテウスの創造物」序曲と交響曲第2番)。第6回のピアノ部門で優勝し、活動の幅を着実に広げている冨永愛子によるシューマンの協奏曲にも注目だ。
 未来から吹いてくるフレッシュな風を体感せよ!
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2021年9月号より)

2021.11/26(金)19:00 東京文化会館(小) 
8/21(土)発売
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 
https://www.t-bunka.jp