セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団

ドイツの名匠と若き俊才が名曲プロで共演

 外国人指揮者がポストに就いているオーケストラは、この1年半、共演機会を作ることに苦心してきた。しかし、セバスティアン・ヴァイグレが常任指揮者を務める読売日本交響楽団には、独特の落ち着きがある。なにしろ、昨年12月からこの7月までのうち、彼が滞在して共演を重ねた期間は4ヵ月を超える。ヴァイグレがいることは、もはや「日常」に近い光景になっているのだ。もちろん、親密にはなれども馴れ合いは一切なし。2月の東京二期会《タンホイザー》の名演をはじめ、じっくりと高水準な共演を重ねたことで、読響はドイツの楽団もかくやという深く豊かな響きを獲得。6月の公演も充実の名演ぞろい、ことに細部まで彫琢されたフランツ・シュミットは印象的だった。

 そして8月下旬には、3度目の隔離期間を経て(予定)、またヴァイグレが登場してくれる。土日のマチネーシリーズは、モーツァルト《フィガロの結婚》序曲、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」という名曲プロが用意された。何と言っても「運命」は注目で、いま理想的な関係を築いている彼らでしか構築できない、特別な演奏になる予感。協奏曲は、10代で第85回日本音楽コンクール第1位、ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクール第2位(1位なし最高位)に入賞、ソロに室内楽にと大活躍中の戸澤采紀が登場。若き俊才の戸澤とドイツの名匠の共演で、スラヴの深い情緒と舞曲の楽しさが詰まった協奏曲の魅力が堪能できるに違いない。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年8月号より)

第239回 土曜マチネーシリーズ 2021.8/28(土)
第239回 日曜マチネーシリーズ 2021.8/29(日)
各日14:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp