福田進一プロデュースのもと、2013年からマイスター・ミュージックよりリリースされている「ギター・ディスカバリー・シリーズ」に小暮浩史が堂々3度目の登場。粋なプログラミングと演奏の洗練度は3枚中の最高作か。名器ダニエル・ルシュールから放たれる独特のくぐもった音色が耳に心地良いが、全曲を通して非常に洗練された気品のある歌いまわしが絶品である。技巧的な演奏効果を狙えるディアンスの「リブラ・ソナチネ」ですら控えめの抒情に彩られるが、しかし終曲ではさり気なく圧倒的な名技を披露したりとその演奏設計は確信に満ち揺るぎない。ド・ヴィゼーでは何とテオルボも披露。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年8月号より)
【information】
CD『リブラ・ソナチネ/小暮浩史』
ディアンス:リブラ・ソナチネ/タンスマン:カヴァティーナ組曲/ドビュッシー(ブリーム編):亜麻色の髪の乙女/コスト:演奏会用ロンド/ド・ヴィゼー:組曲 イ短調より/ラモー(グリザール編):未開人たち/サティ(宮原一浩編):ジュ・トゥ・ヴ/レーモン:ミサトに捧げる秋の詩 他
小暮浩史(ギター/テオルボ)
マイスター・ミュージック
MM-4093 ¥3300(税込)