名手の妙技に触れる、モーツァルトと20世紀作品プログラム
美しく、しなやかに、そして時には情熱的に。“今”を謳い上げる、鮮烈な調べを体感したい。古典作品はもちろん、邦人作曲家による新作初演や、現代作品の紹介にも積極的に取り組むなど、骨太かつ柔軟な活動が光る実力派ヴァイオリニストの印田千裕。モーツァルトにメシアン、バルトーク、さらに現代日本の女性作曲家の先駆者による佳品と、彼女らしいユニークなプログラムによるリサイタルに臨む。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、および同大学卒業。その後は英国王立音楽院ディプロマコースに学び、国内外のコンクールで入賞するなど実績を重ねた。現在はオーケストラとの共演やリサイタル開催など、ソリストとして精力的に活動する一方、室内楽の分野でも活躍。チェリストの弟・陽介とのデュオ活動では、定期的にリサイタルを開き、知られざる作品の発掘にも力を注いでいる。
リサイタルは、メシアンのスペシャリストである、ピアノの名手・安田正昭が共演。印田が「ずっと弾きたかった」という、メシアンの最初期の作品「主題と変奏」やバルトークのソナタ第1番を軸として、モーツァルトのソナタ第26番K.378を組み合わせる。また、特集アルバムを発表するなど、特に日本の女性作曲家によるヴァイオリン作品の紹介に力を注ぐ印田。今回は、日本の伝統音楽に根ざした作風で知られる増本伎共子(1937〜)の作品から、「ソロヴァイオリンのための4つの小曲」(1960)も披露する。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2021年8月号より)
2021.8/27(金)19:00 東京文化会館(小)
問:マリーコンツェルト03-5944-2436
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