雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第21回 牛田智大 ピアノ・リサイタル

ショパンの感情、人生観を表現するプログラム

(c)Ariga Terasawa

 平日のお昼、音楽ライターの山野雄大のナビゲートでさまざまな演奏家の音楽を楽しむことができる、第一生命ホールのコンサートシリーズ「雄大と行く 昼の音楽さんぽ」。9月の公演には、新型コロナの影響による1年の延期を経て、ピアニストの牛田智大が出演。オール・ショパン・プログラムを披露する。

 12歳の少年だったデビュー時のイメージが未だ強い方もいるかもしれないが、今や彼も21歳。歌う表現にはより一層多彩な感情が加わり、堂々とした音楽にも磨きがかかっている。

 今回の公演プログラムは、異なるスタイルの作品をあわせてひとつの音楽を作るようなイメージでセレクトしたという牛田。その内容は、3つのマズルカop.56ではじめ、すでに録音もしている大曲「24の前奏曲」、そしてショパン晩年の傑作である「舟歌」でしめるというもの。

 いずれも牛田がショパンの感情を強く感じ、その人生観を表現できるのではないかと考えている作品だという。なかでも「舟歌」を最後に置いたのは、その特別な“無常観”に、これに続けて弾いて“対抗できる作品は少ない”からだそう。

 以前牛田は、ショパンは子どもの頃から取り組んできた作曲家だが、知るほどに、その難しさをますます実感していると話していた。

 今回のプログラムは、今、集中的にショパンの作品に取り組み、より深く入り込んでいるからこそ組み立てることのできた内容。休憩なし60分公演とコンパクトながら、聴きごたえ十分となりそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2021年8月号より)

2021.9/9(木)11:15 第一生命ホール 
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
https://www.triton-arts.net