【SACD】チャイコフスキー&メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲/周防亮介&飯森範親&日本センチュリー響

 20代半ばの俊英・周防亮介のコンチェルト・デビュー盤。周防は音程が清潔で、技巧も完璧。自然体でしなやか。チャイコフスキーは冒頭から美しい歌に溢れている。特に第2主題以降で、耽溺詠歎調にならないのが好ましく、魅かれる。カデンツァの高音の凛とした伸び、重音のさりげない美観など、センスの良さが光る。緩徐楽章でも繊細な歌いまわしが続く。終楽章は一転激しい疾走と追い込みとなり、飯森範親と日本センチュリー響の木管との絡みや響きの濃淡をつけながらの高揚は感動的だ。メンデルスゾーンでも爽やかな歌、緩急自在なカデンツァ、生き生きと躍動するリズムなど、とても良い。
文:横原千史
(ぶらあぼ2021年7月号より)

【information】
SACD『チャイコフスキー&メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲/周防亮介&飯森範親&日本センチュリー響

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調/メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

周防亮介(ヴァイオリン)
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団

オクタヴィア・レコード
OVCL-00749 ¥3520(税込)