クレーメルも登場する“出会いの場”
マルタ・アルゲリッチという、とびきりチャーミングな天才音楽家のもと、これまで数々の音楽家が集い、素晴らしい音楽を生み出してきた別府アルゲリッチ音楽祭。16回目の開催を迎える今回は、原点である『ミーティングポイント〜出会いが創るもの』をテーマに掲げ、驚きに満ちた演奏会を展開する。
今年特に注目したい公演の一つは、『ベスト・オブ・ベストシリーズ』(5/1)と題したギドン・クレーメルとアルゲリッチによるデュオ。プログラムはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタに加え、М.ヴァインベルク(ショスタコーヴィチと親交を結んだ作曲家で、ポーランドに生まれ、ナチス侵攻によりソ連に亡命した後も苦難の生涯を送った)の作品を取り上げるという意欲的な内容。二人がこの作品を披露するのは、日本では別府公演が初ということで、間違いなく貴重なステージだ。
そしてもう一つ期待できるのが、室内楽コンサート(5/10)。サイトウ・キネン・フェスティバル松本に出演したメンバーと、アニー・デュトワ(語り)、そしてアンサンブル・ノマドの共演で、ストラヴィンスキー「兵士の物語」が演奏される。まさにこの音楽祭だからこそ実現する、夢の組み合わせ。また室内楽では、ヴァイオリンの川久保賜紀とチェロの遠藤真理が登場。確かな実力を持つ若手がアルゲリッチとの共演でどんな表情を見せるのか、こちらにも期待したい。
今年もアルゲリッチの魅力が引き寄せる演奏家たちの化学反応により、特別な音楽が次々と生まれそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2014年4月号から)
★4月24日(木)〜5月11日(日)
会場:別府/ビーコンプラザ、大分/iichiko総合文化センター
問:アルゲリッチ芸術振興財団0977-27-2299
http://www.argerich-mf.jp
ローソンチケット