ユンソン(チェロ)

アルゲリッチも信頼する卓越した音楽性

Photo:Shingo Azumaya
Photo:Shingo Azumaya

 とかく技巧のみに偏向しがちな他の若手演奏家とは一線を画し、精神性の高い音楽創りで世界中の聴衆を虜にし、今やアジアを代表する若手チェリストにその名を挙げられている、ユンソン。昨年に続いて来日を果たし、1709年製の名器テストーレを駆り、彼自身の大きな思い入れを感じさせるブラームスのソナタから第2番を核に据えた、密度の濃いプログラムを披露する。
 韓国出身で、わずか9歳にしてソウル・フィルハーモニー管弦楽団とラロの協奏曲で共演を果たしたユンソン。完璧な技巧と、繊細さと大胆さを併せ持つ卓越した音楽性で、母国はもちろん、イギリス室内管弦楽団やフィンランド放送交響楽団など世界中の一流楽団にソリストとして客演を重ねている。日本では2010年から、同郷の指揮者チョン・ミョンフンの推薦で別府アルゲリッチ音楽祭へも参加。アルゲリッチ当人からの信頼も厚く、今年で4度目の出演となる。
 来日リサイタルは、共演にイスラエル出身のピアノの俊英アヴィラム・ライヒェルトを迎える。録音でも取り上げるなど、本人が特別な思いを寄せるブラームスの作品は、昨年のソナタ第1番に続いて、今回は第2番を披露。さらに、ドビュッシーの名ソナタを冒頭に置いて大枠を成し、「エレジー」「夢のあとに」とフォーレの小品2曲と、ファリャ「7つのスペイン民謡」を配した。まさに、“王道”のチェロ名曲選とも言うべきプログラム。俊英が直球で挑む真剣勝負の行方を、ぜひ自分の耳で確かめてみたい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2014年4月号から)

★4月22日(火)・福岡/あいれふホール 
 問:プリマヴェーラ・アーツ092-263-6640

 24日(木)・大阪/ザ・フェニックスホール Lコード:54876
 問:エス・ピー・エース06-6204-0412

 27日(日)・神奈川/相模湖交流センター
 問:相模湖交流センター042-682-6121

 28日(月)・紀尾井ホール
 問:プリマヴェーラ・アーツ03-5422-7680