尾高忠明(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

ワールドツアーの成果を披露


 東京フィルの4月定期公演で指揮台に立つのは、同楽団桂冠指揮者を務める尾高忠明。三善晃作曲の「オーケストラのためのノエシス」、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、ブラームスの交響曲第1番の3曲が演奏される。
 昨年亡くなった三善晃の「ノエシス」は、1978年に尾高忠明自身によって初演された東京フィル定期演奏会第200回記念委嘱作品。たびたびこの作品を取りあげていることからも、マエストロにとって少なからず思い入れのある作品であることが察せられる。
 ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番は、古今のヴァイオリン協奏曲のなかでも、みずみずしいロマン的情感と高揚感の豊かさにおいて屈指の名曲である。今回は日本を代表する名手、竹澤恭子が独奏を務める。作品の魅力をあますところなく伝えてくれることだろう。
 メインプログラムは名曲中の名曲、ブラームスの交響曲第1番。何度繰り返し聴いても新たな感動が訪れる傑作である。マエストロの棒のもと、暖かく重厚な響きが引き出されるにちがいない。
 なお、東京フィルは竹澤と共に3月に大規模なワールドツアーを行う(指揮は大植英次)。ツアーを終えた後、日本での最初の定期公演が本公演となる。大ツアーでさらなる経験値を積んだオーケストラが、リフレッシュされたサウンドを聴かせてくれるのではないだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2014年4月号から)

第85回 東京オペラシティ定期シリーズ Lコード:34758
★4月17日(木)・東京オペラシティコンサートホール

第846回 オーチャード定期演奏会 Lコード:34759
★4月20日(日)・Bunkamuraオーチャードホール

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