エフゲニー・ザラフィアンツ(ピアノ)

ソロとデュオで聴く孤高のピアニズム

 哲学的で豊かな音楽性を持つロシアのピアニスト、エフゲニー・ザラフィアンツ。若き日、自由な思想が許されにくいソ連時代にあって不本意な出来事にあい、望み通りの進路を阻まれる不遇の時代を過ごしたことでも知られる。活動の場を獲得した90年代以降はクロアチアに居を構え、ザグレブ国立音楽院で教鞭を執りながら演奏活動を行う。その揺るぎない信念に由来する独特のピア二ズムは、日本でも根強い人気を集める。
 今年のリサイタル公演では、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「悲愴」と第30番、そしてショパンのソナタ第3番などをとりあげる。心に寄り添う、深く温かい作品が集められたプログラムだ。一方、クロアチアを代表するヴァイオリニスト、ゴラン・コンチャルとのデュオ公演では、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」やサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」などの有名曲が並ぶ。両巨匠のヴィルトゥオーゾぶりを体感できる内容。
 孤高のピアニストの多彩な表情を堪能できる公演となりそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2014年4月号から)

ピアノ・リサイタル
★4月20(日)・王子ホール

ゴラン・コンチャル(ヴァイオリン)とのデュオ
★5月10日(土)・五反田文化センター音楽ホール
 5月17日(土)・松本/ザ・ハーモニーホール

問:アルペジオ音楽企画03-3418-5344(4/20、5/10)
  ザ・ハーモニーホール0263-47-2004(5/17)