名手の充実した響きで味わうロマン派のリリシズム
2016年にスタートした田部京子の「シューベルト・プラス」。昨年12月の「特別編」(ベートーヴェン生誕250年記念)に続き、シリーズ第7回の開催となる。本来は昨年夏の予定であったが、コロナ禍でやむなく中止に。リニューアル後の浜離宮朝日ホールで開催される運びとなった。
「プラス」とあるとおり、シューベルトのリリシズムとどこか通底するピアノ作品も併せて演奏される本シリーズ。今回のシューベルト作品はソナタ第4番。未完の多いシューベルトだが、二十歳の頃立て続けに6曲ものソナタを書いた。第4番はその皮切りとなった作品である。ゲスト作曲家は、ショパンとシューマン。ショパンは第三楽章に「葬送行進曲」を配したソナタ第2番を、シューマンは叶わぬ恋の苦しみを昇華させた「クライスレリアーナ」(ショパンに献呈された)を取り上げる。
若々しくも、それ故にこそ濃密な音楽表現を、田部の充実したピアノの響きで味わいたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2021年6月号より)
2021.7/24(土)14:00 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/