今年の連休は、ぶらあぼの動画コンテンツを!第1弾
福田進一が語る「ザ・ギターレッスン」

 明日から大型連休が始まります。昨年はほぼすべての活動が止まってしまいましたが、今年は、一部の地域で音楽祭が開催されています。生の音楽に触れる貴重な機会。近隣の方は十分な感染対策をしたうえでぜひ楽しんでください。しかし残念ながら、せっかくの連休も大都市圏を中心にStay Homeとなってしまいました。そこで自宅でもクラシックをお楽しみいただけるよう「ぶらあぼ」から動画コンテンツをお届けします。

 まず最初は、世界的なギタリスト、福田進一さんによるギターレッスン。先日オープンした「ぶらあぼ」がお届けするエンタテインメント&ショッピングサイト「BRAVO Café」全12回の講座のうちレッスン8までが視聴できます(有料)。レッスン1〜4のゲストはなんと女優の石田ゆり子さん。2019年に出演した世界的に活躍するクラシックのギタリストとジャーナリストの愛の物語を描いた『マチネの終わりに』をきっかけに、自身もギターにハマっているとのこと。(ちなみに石田さんはジャーナリスト役。ギタリスト役は福山雅治さん)レッスンは「基本のキ」「まずは右手から」「左手のおさえ方」・・・と進んでいくので、初心者の方でも安心です。昨年、コロナ禍で楽器を始めた人が多いといいますが、その中でも一番人気がギター。この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょう?

 そして、講師をつとめる福田進一さんから、自身がギターを始めたきっかけからプロのギタリストになるまでを振り返り、これから始める人へのメッセージも入った動画が届きました。若かりし日の秘蔵写真も公開されているのでぜひご覧ください!

ギターを愛するすべての方へ

福田 進一

 僕が人生で初めてギターを習ったのは1968年の8月3日でした。日にちまで覚えているんです。僕は大阪の船場で生まれ育ちました。その堺筋にあった楽器屋さんで、そこは元々ギター教室じゃなくて、そこのピアノ教室に通ってたんです。9歳ぐらいの時だったんですけど、ピアノは本当に続きませんでした。

福田進一 12歳

 先生がとっても怖くて、嫌だなと思ってる時にギター教室が2階にできたんです。これはもう渡りに船だということで、1階から2階に上がった、そんな単純なことが、僕がギタリストになる原因というか・・・。そして、僕の最初の先生となった斎藤達也先生は、もう本当に優しいすごく心の温かい先生でした。僕と13歳ぐらいしか違わなかったので本当にお兄ちゃん先生という感じで、親しく教えていただいたんです。周りの人達は、当時ギターというのは大人の楽器だと思っていたので、子どもが弾くと驚異の目で見られたんですね。最初にハ長調の音階をやっても「この子すごい」とみんなから言われたので、なんとかもおだてりゃ木に登るというものでその後の人生があるわけなんです。そのころからもう50年以上が経ちました。斎藤先生のもとで9年間勉強した後、フランスに21歳で渡り7年9ヶ月いました。その間の1981年にパリの国際ギターコンクールで優勝し、人生がガラッと変わっていったのです。

25歳パリ国際コンクール優勝

 それからヨーロッパを中心に、世界中のいろんな所に呼んでいただいて演奏会ができるようになりました。また、アメリカのサンフランシスコの音楽院とか、モスクワ音楽院、パリ音楽院など世界中の音楽院で教えたり、レコーディングも知らぬ間に100枚に達していました。いつのまに自分がそういう立場なったんだろうという思いです。

 そして周りから「ギターの教則本はいつ出すんですか?」と、ずっと聞かれていたんですけど、なかなかこれが難しくて・・・。さまざまな知識が縦横斜めいろんな方向から張り巡らされて構築されていくものですから、自分の頭の中でも整理できない。ギターって本当に自在な楽器で、もう極端に言えば我流でもできないことはないという楽器なんです。ところがクラシックはきっちりとした練習をやらなければいけない、きっちりした練習でなければできないんですけど、「どこから取り掛かっていこうか」と思っている矢先にコロナのクライシスが起こりました。私はこれを機に、映像と音を用いてギターの解説ができるんじゃないかなと思ったんですね。そのようにこのザ・ギターレッスンが生まれました。

 僕のマスタークラスっていうのはよく脱線します。ごめんなさい、最初から謝っておきます。それから奏法とかテクニックが出来上がるまで「こうやらなきゃダメだ」って押し付けるとか強制するようなレッスンはしないようにしています。「自分がこう弾くのであなたもこう弾け」ということもしない。自分のコピーを作ることを嫌います。その生徒さんの中にあるものを外に引っ張り出すことが目的です。このレッスンというのはそのまま鵜呑みにして、「こうやったら上手になるよ」というレッスンではありません。自分の個性を発見していただく、それを一番大きな目的にしています。また、クラシックギターは我流ではできないので、絶対に先生を探してほしいと思います。このレッスンを観て、ギターに興味を持って、「ギターをやってみよう、先生を探しに行こう」と思ってもらうのがレッスンの目的なんですね。既にギターが弾けるようになってる人は、「こういうやり方があるんだ」ってことを発見してもらいたい。基本的な技術を学びながら個性をどう生かして音楽性を育んでいくか、ということです。生徒があるポイントに気づいた瞬間にそれが僕にダイレクトに伝わってくる。それを映像と音で捉えていく。それがこのレッスンの醍醐味なんです。シリーズは、全部で12回あります。12という数字がどこから出てきたのか?12のエチュードはショパンもヴィラ=ロボスも書きましたから、それで12回にしてみたんですけど(笑)それぞれに私のミニコンサートも収録されています。これを観て、楽しくギターを始めてほしい、という作品です。皆さんぜひご覧ください。