4月14日、サントリーホール ブルーローズにてサントリーホール「開館35周年記念事業」発表会見が行われた。同ホールは、1986年10月12日に東京初のコンサート専用ホールとして開館。以来、“世界一美しい響き”、“音楽文化の継承と発展”を目指し国内外の一流アーティストの演奏を音楽ファンに届けてきた。その数、実に19,000公演が開催され、1,978万人(2020年11月末)が来場したという。
まずチェリストで館長を務める堤剛が挨拶に立った。
「新型コロナウイルスの感染拡大で世界ではまだまだ演奏会を開くのが困難な国や地域が多くございます。幸い日本では世界に先んじて演奏会が再開されています。サントリーホールはこのコロナ禍で培ってきた演奏会の経験を、今後は世界中で公演再開の知見として情報共有することで音楽界の歴史に貢献したいと考えております」
続いて総支配人の折井雅子が35周年のメッセージ“夢を奏でる場所”をロゴマークとともに発表し、下記の記念公演の概要を説明した。
- 10周年を迎える室内楽の祭典「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2021」
- クラシック音楽の未来を担う現代音楽の祭典「サントリーホール サマーフェスティバル 2021」
- 世界のトップアーティストと35周年を祝う「サントリーホール35周年記念 ガラ・コンサート 2021」
- サントリーホールならではのオペラの表現形式「ホール・オペラ®︎ ヴェルディ:ラ・トラヴィアータ(椿姫)」
- 世界最高峰のオーケストラ「ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2021」
- 20周年を迎える「東京交響楽団&サントリーホール こども定期演奏会 2021年シーズン」
そして、会見と同日14日の正午から、35周年記念事業のひとつとして、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の活動基盤となる新プラットフォーム「デジタルサントリーホール」がスタートした。「いつでも、どこでもサントリーホールを」というキャッチフレーズで、世界中から距離、時間、国境、言語の壁を超えて、同ホールを生活の中で身近に体感できることを目指し、オンラインイベントやバーチャルでのバックステージツアー、オンライン配信、オンラインショップ、動画ライブラリーなどのデジタルコンテンツを掲載していくという。まずは、第一弾のオンラインイベントとして、同ホールの春の恒例無料イベントである「オープンハウス」が5月31日までの期間限定で公開される。
折井は、デジタルサントリーホールについて「音楽を取り巻く環境が今大きく変わっている中で、コンサートを楽しむ文化をお伝えし、お届けできるプラットフォームとして展開していきたい」と抱負を述べた。
例年およそ600ステージが行われるというサントリーホールといえど、昨年は公演数が半減してしまったという。そのような状況にありながら、日本の音楽ファンに希望を与えてくれた昨秋のウィーン・フィルの招聘は記憶に新しい。35周年に当たる2021年も、80歳を迎えニューイヤーコンサートでも共演した巨匠リッカルド・ムーティとともに来日予定。デジタル事業も新たにスタートさせ、コロナ禍においてもチャレンジする姿勢を見せ続ける“日本の音楽の殿堂”に勇気づけられる思いがした。